セッション情報 口演

大腸 その他2

タイトル O-358:

当科における大腸癌に対する単孔式腹腔鏡下手術の標準化

演者 平能 康充(福井県立病院外科)
共同演者 服部 昌和(福井県立病院外科), 道傳 研司(福井県立病院外科), 宮永 太門(福井県立病院外科), 橋爪 泰夫(福井県立病院外科)
抄録 【はじめに】単孔式腹腔鏡下手術は,そのすぐれた整容性と腹壁破壊の軽減によるさらなる低侵襲性をもたらすことから大腸外科領域でも急速に普及しつつある.当科では2010年8月に単孔式腹腔鏡下大腸切除術を導入し大腸疾患360例に対して施行.現在では大腸癌に対する標準手術として単孔式腹腔鏡下手術を行っており,2013年度には全大腸癌症例の88%に対して本術式を適応した.当科における手術手技および手術成績に関して論ずる.【手技】結腸切除は,基本的に臍部のEZアクセスに挿入した3本の鉗子のみで手術を施行.横行結腸の血管系の処理が必要な症例ではEndoGrabを使用し術野の展開をおこなっている.直腸癌に対しては上記に加え右下腹部に12mmトロカールを挿入し直腸の切離にも使用.また必要に応じてEZアクセスより直接鉗子の挿入し術野の展開を行う.右側結腸癌に対しては基本的には全例で十二指腸の前面の薄膜を切開し結腸の授動を行う内側アプローチ変法を行うなどの各術式で手技の定型化をおこなっている.結腸癌に対しては超音波凝固切開装置を主に使用し,直腸周囲の剥離には電気メスを使用している.【結果】2013年8月までに大腸癌339例に対して本術式を適応した.手術の完遂率は93.5%であり,開腹移行症例を18例認めたが,手術手技に関した移行は4例のみであった.ポート追加は4例であった.手術時間の検討では,各術式の経験で有意に手術時間の短縮が見られた.平均摘出リンパ節個数24個,術後合併症は軽微なものも含めて17例(5.0%)と癌の手術としても安全性も手術手技としての安全性も担保されていた.【まとめ】大腸癌に対する単孔式腹腔鏡下手術は,優れた整容性を有しつつ安全に施行可能であった.今後更なる定型化がなされれば大腸癌に対する標準術式となりうると考えている.
索引用語