セッション情報 口演

NASHスクリーニング

タイトル O-362:

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を市中から効率的に拾い上げのための日常検査項目を用いた予測式の確立

演者 櫻井 瑛一(産総研サービスRC)
共同演者 角田 圭雄(京都府立医科大学消化器内科), 江口 有一郎(佐賀大学肝疾患医療支援学)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,健康診断や一般診療でも潜在していることが想定されるため,肝硬変になってようやく専門医へ紹介される症例も後を絶たない.そのため市中から効率的な疾患の拾い上げが不可欠であり,疾患の認知の向上とともに一般診療で測定されている項目を用いた有用な特異マーカーや診断システムが急務である.そこで,今回,肝生検によって診断されたNAFLDデータベースから一般の健康診断で実施される項目を用いて,線維化進展度(以降S)がstage2以上のNASHを抽出する予測式の構築を試みた.【方法】一般健診で用いられるBMIおよび血清AST,ALT,ALP,γ-GTP,TG,HDL,LDL値を用いた.それらの分布をヒストグラムにて近似し,情報量基準を用いてS2以上あるか否かをよく判別する検査値を選択した.そして,選択された属性とヒストグラムのビンの数と幅からスコアリング関数を作成し,それらを多施設共同NAFLDデータベースの肝生検の情報を含むデータ(949例)に適用した.【結果】情報量基準として赤池情報量規準を用いた結果,BMI,ASTおよびALTが選択された.スコアリングはBMIが26.5以上で1点,ASTが27.0,33.0,42.0,60.0以上であるかで1点ずつ加算(例:AST34=2点;60=4点),ALTが63.0以上で1点,合計で3点以上ならばS2以上と判定.このスコアリングを学習に用いたデータに適用したところS2以上は421/516,S2未満は196/433となった(Sen. 82%,Spe. 45%).同データでFIB-4およびNAFICによる結果はそれぞれSen.60%,Spe. 71%,Sen. 49%,Spe. 79%であった.従来法に比べ,健康診断や一般診療で測定される項目のみを用いて,高感度低特異度で,同程度の精度を得るスコアリング手法を得た.【結論】高感度で線維化進展度が2以上であることを健康診断で用いられる血液検査から知るスコアリング手法を用いて効率よくNASHを拾い上げることが期待される.
索引用語