セッション情報 口演

NASHスクリーニング

タイトル O-364:

住民対象コホート研究におけるメタボリックシンドローム関連肝機能異常率の推移と悪化要因の検討

演者 西瀬 雄子(山形大学医学部内科学第二講座)
共同演者 水野 恵(山形大学医学部内科学第二講座), 勝見 智大(山形大学医学部内科学第二講座), 冨田 恭子(山形大学医学部内科学第二講座), 佐藤 智佳子(山形大学医学部内科学第二講座), 奥本 和夫(山形大学医学部内科学第二講座), 渡辺 久剛(山形大学医学部内科学第二講座), 齋藤 貴史(山形大学医学部内科学第二講座), 上野 義之(山形大学医学部内科学第二講座)
抄録 【目的】一般住民を対象とした生活習慣病予防を基盤とした前向きコホート研究において,肝機能異常率の推移を把握し,悪化に関連する要因を明らかにすることを目的とした.【方法】2007年よりスタートした40歳以上住民対象の前向きコホート研究について5年後の追跡調査を行った.対象はHBsAg陰性かつHCVAb陰性,非飲酒者あるいはアルコール換算20g/日以下の飲酒者とした.分析対象となったのは823名(男性296名,女性527名,平均年齢61.5±9.3歳であり,既報(Metabolism. 2009, 58;1067-1075)に基づいてメタボリックシンドロームに関連したALT異常値を男性では30 IU/L以上,女性では25 IU/L以上とし,Cox比例ハザードモデルにより多変量解析を行った.【結果】ベースライン調査時の年齢別ALT異常率は,男性では40歳代28%,50歳代20%,60歳代18%,70歳以上12%であり,女性ではそれぞれ11%,23%,27%,13%であった.追跡調査ではそれぞれの出生コホートでALT異常率は31%,25%,19%,10%,女性35%,19%,20%,8%となり,ベースライン年齢が40~50歳代男性と40歳代女性に増加を認めた.追跡調査でALT異常に転じた要因は多変量解析の結果,高血圧症,HDLコレステロール低値,肥満,血清アディポネクチン低値,年齢40歳代であった.ベースライン調査時のALT異常者168人のうち32%が追跡調査でALTは正常化しており,異常持続群に比べて有意にメタボリックシンドローム項目の改善を認めていた.これらは保健指導や医療介入の影響が示唆された.【結論】非アルコール性脂肪性肝疾患の一部に含まれる非アルコール性肝炎は,5~10年の推移で5~20%が肝硬変に進展すると考えられているため,特に肝機能異常率が増加している40~50歳代への対策が急務であり,リスクを有する対象者に対して保健指導を含めた介入を行うことにより肝障害の悪化を予防する対策が望まれる.
索引用語