セッション情報 口演

膵炎 基礎

タイトル O-368:

慢性膵炎における発症年齢別臨床的特徴

演者 千葉 和朗(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科)
共同演者 神澤 輝実(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 遠藤 佑香(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 小泉 理美(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 岩崎 将(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 田畑 拓久(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 来間 佐和子(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 江頭 秀人(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 藤原 崇(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 藤原 純子(がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科), 桑田 剛(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科), 荒川 丈夫(がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科), 門馬 久美子(がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科), 小泉 浩一(がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科)
抄録 【背景】慢性膵炎は非可逆性に進行する難治性膵疾患である.種々の合併症を呈するが,近年悪性腫瘍の合併が注目されている.【目的】慢性膵炎の発症年齢別に分け,成因・症状・合併症等の臨床上の特徴を検討した.【方法】当院で慢性膵炎臨床診断基準2009にて診断した慢性膵炎確診228例を対象とした.慢性膵炎の発症年齢別に6群(~39才,40~49才,50~59才,60~69才,70~79才,80才~)に分類し,臨床的特徴を比較検討した.【結果】発症時の年齢は平均54,5才(28-84才)で,各群19例,54例,57例,58例,26例,14例であった.男女比は全体で1:0.14であり,年齢別では1:0.11,1:0.08,1:0.09,1:0.13,1:0.36,1:0.4で,いずれも男性に多いが加齢とともに女性の比率が増加した.各年代の成因はアルコール性が95%,91%,82%,66%,46%,14%で,特発性が5%,9%,12%,28%,35%,71%であり,若年ではアルコール性の頻度が高く,高齢者では特発性の頻度が高かった.腹痛症状は100%,83%,51%,36%,23%,21%に認められ,高齢者では無痛性が多かった.膵石の頻度(58%,76%,58%,57%,50%,21%)と糖尿病の合併頻度(50%,60%,62%,49%,54%,29%)に差を認めなかった.経過中に死亡が確認されたのは4例,8例,16例,15例,8例,4例であった.肝不全での死亡は49歳以下でのみ,脳梗塞・心筋梗塞での死亡は70才以上でのみみられた.癌合併は3例(癌死0例),6例(1),15例(3),17例(4),8例(1),4例(3)で認められた.膵癌は12例(0,1,3,4,1,3)で認められ,全例癌死した.合併した胃癌,大腸癌,肺癌は,16例中11例,9例中6例,8例中4例で内視鏡的および外科的治療で治癒可能であった.【結論】慢性膵炎の診療においてはその発症年代別の特徴をふまえ,さらに経過中には悪性腫瘍の合併に注意する必要がある.
索引用語