セッション情報 |
口演
膵炎 基礎
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タイトル |
O-369:腸内細菌反復投与により誘導される自己免疫性膵炎モデルマウスにおける膵外病変の検討
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演者 |
春田 郁子(東京女子医科大学消化器内科・微生物学免疫学) |
共同演者 |
清水 京子(東京女子医科大学消化器内科), 古川 徹(東京女子医科大学統合医科学研究所), 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器内科) |
抄録 |
自己免疫性膵炎(AIP)はIgG4関連疾患の膵病変と考えられ,発症に自己免疫の機序の関与が疑われる.我々は,細菌関連物質又は分子擬態の抗原がAIPの病因に関与するという仮説を立て,C57BL/6マウス腹腔内にEscherichia coliを反復投与することによりAIPモデルマウスを作製し病態の検討を行い報告してきた.同マウス膵組織では,膵管周囲を中心とした高度の線維化を伴う限局性の炎症を認め,血清中で高γ-グロブリン血症,抗lactoferrin(LF),抗carbonic anhydrase-II(CA-II)抗体の産生を認めた.また,E. coli投与マウスをドナーとし,その脾細胞をna?ve RAG2ノックアウトマウスに投与し検討を行った結果,レシピエントのRAG2ノックアウトマウス膵臓にAIP様の炎症を来たし,膵の浸潤細胞はCD3優位でドナー由来細胞であった.一方,コントロールPBS投与マウス脾細胞をドナーとして,na?ve RAG2ノックアウトマウスに投与した群では膵臓に炎症は起こらなかった.今回,このE. coli反復投与マウスモデルを用いて,IgG4関連硬化性疾患の膵外病変に相当する病態を誘導できるか検討した.その結果,PBS投与コントロール群と比べ,E. coli投与マウス群で,唾液腺及び涙腺に炎症細胞浸潤を認めた.また,E. coli投与マウスをドナーとし,そのCD4+T細胞をna?ve TCRβδノックアウトマウスに移入した結果,レシピエントのTCRβδノックアウトマウスの唾液腺,涙腺に細胞浸潤を来たすことが明らかとなった.本マウスモデルでAIPやミクリッツ病などの疾患を考えると,腸内細菌などの共生細菌が,膵臓のみならず全身性のIgG4関連硬化性疾患の標的臓器の病因・病態に関与している可能性が示唆された.(共同研究:柳沢直子4,ミヤケ深雪4,上芝秀博5,樋口智昭4,阿部義廣4,八木淳二4;4微生物学免疫学,5実験動物中央施設) |
索引用語 |
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