セッション情報 口演

急性膵炎

タイトル O-374:

DIC合併重症急性膵炎におけるThrombomodulin α(rTM)の臨床

演者 江口 考明(大阪府済生会中津消化器内科)
共同演者 古賀 英彬(大阪府済生会中津消化器内科), 北田 隆起(大阪府済生会中津消化器内科), 小泉 彰郎(大阪府済生会中津消化器内科), 長谷川 隆(大阪府済生会中津消化器内科), 岩坪 太郎(大阪府済生会中津消化器内科), 黒澤 学(大阪府済生会中津消化器内科), 長谷 善明(大阪府済生会中津消化器内科), 安冨 栄一郎(大阪府済生会中津消化器内科), 川口 真平(大阪府済生会中津消化器内科), 小山 晋太郎(大阪府済生会中津消化器内科), 生方 聡史(大阪府済生会中津消化器内科), 田中 敏雄(大阪府済生会中津消化器内科), 山下 博司(大阪府済生会中津消化器内科), 福知 工(大阪府済生会中津消化器内科), 伊藤 大(大阪府済生会中津消化器内科), 蘆田 潔(大阪府済生会中津消化器内科)
抄録 【目的】重症急性膵炎(SAP)は致死率8%の重篤疾患で,特にDIC合併SAPはより致死率が高い報告がある.膵炎発症機序にトロンビン活性に伴う凝固異常とcytokine産生があり,凝固異常と炎症のcross talkがDICとcytokine stormをおこしSAPの重症化に深く関与している.rTMはSAPに合併するDICへの有効性に関する報告はなく,当院でのDIC合併SAPにおけるrTMの臨床効果を検討する.【対象と方法】2009~2013年に入院したSAP患者に急性期DICスコアを測定し,DIC合併と診断された17例にrTM(中央値7.0日)を診断同日に投与しretrospectiveに検討.rTM投与日をday0とし,day3,day7におけるDICスコアと凝固系変化を観察した.【結果】患者背景は平均年齢75.6歳,性別(男:女/9:8),予後因子≧3(11/17:64.7%),CTgrade≧2(14/17:82.5%),予後因子/CTgradeともに重症を満たした患者(8/17:47.0%),入院時平均APACHE II(12.4),死亡数(3/17:17.6%)であった.治療効果は急性期DICスコア(day0:day3:day7/4.54:4.13:3.07)と有意に改善を認めた.DICの各因子でみるとFDP(μg/ml)(day0:day3:day7/40.0:42.1:23.4),P-INR(day0:day3:day7/1.31:1.27:1.31),Plt(万/μl)(day0:day3:day7/13.3:14.7:21.9),SIRSスコア(day0:day3:day7/1.58:1.87:1.27)でFDPとPltで有意に改善を認めた.他の凝固因子でみるとfibrinogen,D-dimer,AT-IIIでは有意な改善を認めなかったがTATにおいては(day0:day3:day7/18.1:7.38:5.20)と有意な改善を認めた.【考察】DIC合併したSAPは重症度判定基準やAPACHE IIからも重篤な状態で致死率も高いと考えられる.SAPにおいてもrTM投与でDICは有意に改善を示し,凝固因子もFDPを始めTAT,Pltでの改善を認め凝固異常改善に寄与すると考えられた.DICを伴うSAPへのrTM投与はDICの改善に寄与し凝固異常からの離脱に繋がる可能性がある.
索引用語