セッション情報 口演

自己免疫性膵炎

タイトル O-377:

血清IgG4値からみた自己免疫性膵炎診断基準の比較

演者 行武 正伸(広島大学消化器・代謝内科)
共同演者 佐々木 民人(広島大学消化器・代謝内科), 芹川 正浩(広島大学消化器・代謝内科), 南 智之(広島大学消化器・代謝内科), 岡崎 彰仁(広島大学消化器・代謝内科), 石垣 尚志(広島大学消化器・代謝内科), 石井 康隆(広島大学消化器・代謝内科), 小酒 慶一(広島大学消化器・代謝内科), 毛利 輝生(広島大学消化器・代謝内科), 吉見 聡(広島大学消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学消化器・代謝内科)
抄録 【背景・目的】自己免疫性膵炎(AIP)は本邦で初めて診断基準が作成され,現在ではICDC,JPS2011が主に用いられている.血清IgG4高値は1型AIPの診断において重要な位置を占めるが,IgG4正常の1型AIPも少なからず存在し,診断に苦慮することも多い.今回,我々は血清IgG4値に注目して各診断基準の診断能について検討した.【方法】当院にてAIPが疑われた52例を対象とした.IgG4値に応じてA~Dの4群に分けた.A:ICDC level1を満たす210mg/dl以上,B:Aは満たさないがJPS2011を満たす209~135mg/dl,C:Bは満たさないがICDC Level2を満たす134~105mg/dl,D:いずれも満たさない105mg/dl未満.各群についてJPS2006・2011,ICDCの診断能・問題点について比較検討した.【結果】A群30例;各診断基準で全例診断できた.B群7例;ICDCで1例準確診,その他は各診断基準で全例診断できた.C群4例;2006年は2例診断可能,2011年は3例が確診で1例が疑診,ICDCでは4例が確診.いずれも1型AIPと考えられた.D群11例;IBD非合併例は6例あり,このうち3例は1型AIPと考えられた.2006年では1/3例で診断.2011年,ICDCでは3/3例で疑診であった.残りの3例は2006年ではいずれもAIPと診断していたが,2011・ICDCでは診断できず,実臨床でもAIPは否定的であった.IBD合併例は5例あり,4例は2006年でAIPと診断していたが2011年では1例のみ疑診,ICDCでは1例のみ2型AIPの準確診であった.【結論】JPS2006はIgG4陰性のAIP診断能が悪く,誤診例もある.一方,AIP2011,ICDCはIgG4陰性の1型AIPに対する診断能が高く,2型との鑑別が困難な症例も疑診として拾い上げることが可能であった.IBD合併膵管狭細型膵炎はIgG4陰性で膵管像もAIPと酷似するため,2型AIPが疑われる傾向にあるが,必ずしもステロイドに反応せず,IBDの病勢と関連する症例が多かった.2型AIPについては現時点で診断に限界があると思われた.最後にJPS2011,ICDCの問題点も提起したい.
索引用語