セッション情報 口演

膵 EUS 1

タイトル O-383:

当院における膵癌早期発見のための膵精密超音波検査実績

演者 末吉 弘尚(大阪府立成人病センター肝胆膵内科)
共同演者 井岡 達也(大阪府立成人病センター消化器検診科), 高田 良司(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター消化器検診科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター肝胆膵内科)
抄録 膵癌は5年生存率が10%以下と難治癌である.膵癌早期診断の為に,如何にして高危険群を同定し,経過観察すべきかを検討するために当院では1998年より超音波検査を主体とした定期検査を施行してきた.その結果,主膵管拡張(2.5mm以上)や膵嚢胞(5mm以上)が存在する患者が,一般人口に比べ約27.5倍,膵癌発症リスクが高いことを明らかにした(Tanaka.S et al. Radiology, 2010).また,2010年からは適切な検査間隔を検証するための無作為割り付け試験を開始した.主膵管拡張と膵嚢胞の両方または一方を有し,エコー検査にて膵が良好に描出できる35歳以上75歳未満の患者に対して,無作為に割り付けて,3ヶ月毎もしくは6ヶ月毎に超音波検査をおこないながら,両群に1年に1回の造影CT検査を追加して,早期膵がんの発見率について検証する予定である.さて,我々は1998年5月から2011年3月末までに,のべ8757例の膵エコー検査をおこなった.そして,2003年4月から2011年3月末までの8年間の経過観察中に,計26例の膵癌を診断した.その内訳は,(管状)腺癌は14例(Stage 0:3例 Stage I:3例 Stage II:1例 Stage III:3例 Stage IVa:3例 StageIVb:1例),IPMCは12例(Stage 0:7例 Stage I:1例 Stage III:2例 Stage IVa:1例 StageIVb:1例)であった.膵癌発症高危険群に対する定期的な検査には,低侵襲で,頻回に反復可能,かつコストも安価な超音波検査が優れていると考えているが,どのような頻度で定期検査をおこない,どのような所見によって,一次または二次精査を追加するのかについて,今後も検討を追加していきたい.
索引用語