セッション情報 口演

膵 EUS 2

タイトル O-387:

切除不能膵癌に対するEUS-FNA導入前後の内視鏡的細胞診の成績を検証する

演者 石田 祐介(久留米大学内科学講座消化器内科部門)
共同演者 岡部 義信(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 鶴田 修(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 牛島 知之(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 倉岡 圭(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 安元 真希子(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 佐々木 優(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 多比良 朋希(久留米大学病院病理部), 中山 正道(久留米大学病理学講座), 内藤 嘉紀(久留米大学病理学講座), 鹿毛 政義(久留米大学病院病理部), 佐田 通夫(久留米大学内科学講座消化器内科部門)
抄録 【目的】当院における切除不能膵癌に対するEUS-FNA導入前後の内視鏡的細胞診の診断能を検証し,診断アルゴリズムの妥当性を明らかにする.【対象および方法】2002年~2013年3月に当院で診断をおこなった切除不能膵癌267例を対象とした.内視鏡的細胞診は,EUS-FNAを本格導入した2007年以前は全例経乳頭的細胞診(胆汁・膵液の吸引採取,擦過細胞診のいずれかを施行)を行っていたが,2007年以降は胆道ドレナージを要する症例には経乳頭的細胞診を第一選択で行い,胆道ドレナージが不要な症例に対してはEUS-FNAを行った.2002-2006年を前期群,2007-2012年を後期群とし,両群間における癌陽性率と合併症頻度を検証した.また後期群に関して病変部位別,腫瘍径別に検討を行った.なお,細胞診でClass 4以上を癌陽性と定義した.【成績】前期群101例,後期群166例であった.癌陽性率は前期群60.4%(61/101),後期群で経乳頭的細胞診を先行した症例が44.7%(42/94),EUS-FNAを先行した症例が94.4%(68/72)であった.経乳頭的細胞診で癌陽性が得られなかった52例中22例でEUS-FNAを施行し,癌陽性率は63.6%(14/22)であった.最終的には前期群60.4%(61/101),後期群74.7%(124/166)の症例で治療前に癌陽性が得られた(p=0.0140).また,合併症は前期群4.95%(5/101),後期群3.01%(5/166)であった(p=0.4185).後期群における癌陽性率(経乳頭的細胞診vs. EUS-FNA)は,部位別では頭部47.1% vs. 77.1%,体尾部38.5% vs. 93.2%,腫瘍径別ではTS2以上の症例でEUS-FNAの成績が優れていた.【結論】当院では,EUS-FNAの導入により非切除膵癌に対する内視鏡的細胞診の診断能は向上し,合併症頻度も減少した.また,体尾部病変やTS2以上の病変で,癌陽性率は経乳頭的細胞診よりEUS-FNAが優れていた.
索引用語