セッション情報 口演

膵 EUS 2

タイトル O-389:

EUS-FNAによる膵・胆道癌術後再発の診断能

演者 矢根 圭(手稲渓仁会病院消化器病センター)
共同演者 潟沼 朗生(手稲渓仁会病院消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院消化器病センター)
抄録 【背景と目的】膵・胆道癌に対する切除術後の経過観察において,画像検査や腫瘍マーカーのみでは再発の確定診断が困難な例を経験する.また,膵・胆道癌に対して抗腫瘍効果が高い一方で有害事象も少なくない化学療法のレジメンが導入されており,組織学的診断の必要性が高まっている.今回,EUS-FNAによる膵・胆道癌術後再発の診断能についてretrospectiveに検討する.【対象と方法】対象は2013年8月までに膵・胆道癌術後再発を疑いEUS-FNAを施行した42例.男性20例,女性22例,年齢中央値68歳(50~89歳).原疾患の内訳は膵癌29,胆道癌13(胆嚢3,胆管8,乳頭部2),術式の内訳はPD 21,DP 13,肝切除+胆管切除5,拡大胆摘2,胆摘1.fStageはI 6,II 6,III 16,IVa 10,IVb 4.切除断端は37例で陰性,5例で陽性.手術からFNAまでの期間の中央値は437日(110~2168日).検討項目は,1)自覚症状および腫瘍マーカー値,2)再発を疑った画像所見,3)穿刺部位と回数,4)細胞診・組織診結果と正診率,5)偶発症,6)再発例に対する治療内容.なお,正診の判定は癌陽性例では臨床経過および画像所見,癌陰性例は1年以上の経過観察で画像所見に変化がないものとした.【成績】1)有症状26.2%(11/42),無症状73.8%(31/42).CEAは36.6%(15/41),CA19-9は45.2%(19/42)で上昇を認めた.2)断端近傍あるいは血管周囲のsoft tissueの増大27,残膵腫瘤5,リンパ節腫大8,腹水1,肝腫瘤1.3)胃26(PD後の残胃18),十二指腸10,胃+十二指腸2,空腸2,胃空腸吻合部1,食道1.平均穿刺回数は2.4回(1~5).4)癌陽性32,陰性10.経過により陰性のうち6例は無再発,4例は再発と診断した.FNAの感度,特異度,正診率,陽性的中率,陰性的中率は88.9%,100%,90.5%,100%,60%であった.5)偶発症は認めなかった.6)化学療法31,残膵全摘2,陽子線治療1,BSC2.【結論】膵・胆道癌術後再発例に対するEUS-FNAは比較的高い正診率を示し,治療方針決定に有用な検査法である.
索引用語