セッション情報 口演

膵 EUS 3

タイトル O-392:

膵癌患者に対するEUSガイド下腹腔神経叢破壊術の有用性と問題点

演者 戒能 聖治(山口大学消化器病態内科学)
共同演者 川野 道隆(山口大学消化器病態内科学), 播磨 博文(山口大学消化器病態内科学), 末永 成之(山口大学消化器病態内科学), 仙譽 学(山口大学消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学消化器病態内科学)
抄録 【目的】膵癌ではその経過中に疼痛をきたすことがよく知られている.膵癌性疼痛に対するEUSガイド下腹腔神経叢破壊術(EUS-CPN)の有用性が報告されており,より選択的な治療として腹腔神経節破壊術(EUS-CGN)の報告も増えつつある.当院における膵癌患者に対するEUS-CGN/CPNの有用性とその問題点について検討を行った.【方法】2008年12月~2013年9月までに当科でEUS-CGN/CPNを施行した12例(男性6例,女性6例,平均年齢68.8±10.3歳)を対象とした.疼痛はnumerical rating scale(NRS)で評価し,治療効果判定はEUS-CGN/CPNの1週後および2か月後に行った.治療後のNRSが3以下で,治療前と比較し鎮痛剤の投薬量が増量しないものおよび新規鎮痛剤の追加を要さなかったものを有効とした.EUS-CGNおよびCPNでの治療効果の比較,腫瘍径での治療効果の比較,腫瘍部位での治療効果の比較を行った.【結果】EUS-CGNを7例(58.3%),EUS-CPNを5例(41.7%)に行った.全例での1週後・2か月後の有効率はそれぞれ75.0%(9/12)・50%(5/10)であった.手技別にはEUS-CGNおよびEUS-CPNの1週後・2か月後の有効率はそれぞれ71.4%(5/7)・50.0%(3/6),80.0%(4/5)・50.0%(2/4)であった.腫瘍径別では長径4cm以下で1週後・2か月後の有効率は75.0%(3/4)・50.0%(2/4),4cm以上では75.0%(6/8)・50%(3/6)であった.腫瘍部位別では膵頭部で1週後・2か月後の有効率はそれぞれ85.7%(6/7)・66.7%(4/6),体尾部ではそれぞれ60.0%(3/5)・25.0%(1/4)であった.偶発症は16.7%(2/12)に処置後の一時的な疼痛増強を認めた.【結論】EUS-CGN/CPNの手技別での治療効果間に統計学的有意差を認めず,腫瘍径別,腫瘍部位別にも治療効果に有意差を認めなかった.今回の検討では重篤な偶発症を経験することなく安全に施行可能であった.EUS-CGN/CPNは手技1週後の治療効果は比較的良好であるが,その持続期間は十分とは言えず,効率の良い治療への取組みが必要であると考えられた.
索引用語