セッション情報 口演

膵 EUS 3

タイトル O-394:

一般病院における膵胆道疾患に対するInterventional EUS導入後の診断・治療の現況

演者 三長 孝輔(日本赤十字社和歌山医療センター消化器内科)
共同演者 上野山 義人(日本赤十字社和歌山医療センター消化器内科), 山下 幸孝(日本赤十字社和歌山医療センター消化器内科)
抄録 【背景と目的】Interventional EUSは膵胆道疾患の診断・治療に不可欠な手技としてEUS-FNAの保険収載後急速に普及が進んでいる.当院では2011年1月よりコンベックス型EUSを整備しInterventional EUSを導入した.導入初期施設における成績,問題点について検討した.【対象と方法】2011年1月から2013年9月までに膵胆道疾患にInterventional EUSを施行した120例(EUS-FNA103例,治療的EUS17例)を対象に成績や偶発症,導入後の工夫について遡及的に検討した.【結果】(1)EUS-FNA:膵癌84例,膵癌以外19例(内分泌腫瘍3,腫瘤形成性膵炎5,自己免疫性膵炎4,その他7)に施行した.全症例における検体採取率98%,細胞診と組織診を合わせた正診率87%,良悪性診断における感度91%,特異度100%であり,平均穿刺回数2.5回,偶発症では穿刺に伴う出血を1例認めたが保存的に軽快した.診断能向上のため2013年4月より迅速Papanicolaou染色を導入した.導入後に施行した34例に限った検体採取率は100%,正診率は94%,良悪性診断の感度93%,特異度100%と成績の向上が得られた.(2)治療的EUS:胆道ドレナージ6例,胆嚢ドレナージ1例,walled-off necrosisを含む膵嚢胞ドレナージ4例,腹腔神経叢ブロック6例を施行した.胆道ドレナージでは手技成功率は100%で得られ,全例で減黄できたが,hepaticogastrostomyの1例で留置後ステントの腹腔内迷入を来し開腹手術を要した.膵嚢胞ドレナージでは2例でバルーンによる開窓を要したが,合併症なく施行でき,著明な嚢胞縮小が得られた.腹腔神経叢ブロックは全例膵癌に施行し,エタノールを平均20.6ml注入,83%(5/6)で鎮痛剤を減量できた.【結論】Interventional EUSは導入初期施設においても膵胆道疾患に対し高い診断・治療能が得られた.診断では迅速細胞診の導入により成績の向上が得られ有用であった.治療では先進施設での指導,助手経験を経て導入したため円滑に施行可能であったが,偶発症も経験しており適応や手技の統一が望まれる.
索引用語