セッション情報 口演

膵 EUS 3

タイトル O-395:

膵癌EUS-FNA検体におけるリン酸化HSP27発現評価の臨床的意義

演者 奥野 充(岐阜大学第一内科)
共同演者 安田 一朗(岐阜大学第一内科), 足立 政治(岐阜大学第一内科), 中島 賢憲(岐阜大学第一内科), 河口 順二(岐阜大学第一内科), 土井 晋平(岐阜大学第一内科), 岩下 拓司(岐阜大学第一内科), 廣瀬 善信(岐阜大学病院病理部), 小澤 修(岐阜大学薬理病態学), 吉見 直己(琉球大学腫瘍病理部), 森脇 久隆(岐阜大学第一内科)
抄録 熱ストレスタンパク(HSP)群はタンパクのfoldingを制御する分子シャペロン機能を有することが知られているが,そのうちHSP27は膵癌をはじめ各種固形癌で過剰発現を認め,治療抵抗性や予後に関連することが報告されている.我々はこれまでに膵癌細胞株において,Gemcitabineによるアポトーシスの誘導にはHSP27のリン酸化が重要な役割を果たしていることを報告している.今回膵癌診断時のEUS-FNA検体において,HSP27およびリン酸化HSP27(P-HSP)の発現とその臨床的意義について検討した.【方法】2004年9月から2011年10月までに岐阜大学病院および関連病院でEUS-FNAにて検体採取した膵癌49例(男:女=27:22;年齢中央値68歳)の組織中HSP27およびP-HSP27の発現量を免疫染色法にて評価し,化学療法の効果(PR 4例,SD 13例,PD 32例),遠隔転移の有無(無22例,有27例),膵癌組織分化度(高分化19例,中分化19例,低分化11例),生存期間(11-790日:中央値287日)との関連性を検討した.【結果】HSP27の発現量と各因子の間には関連性は認められなかった.しかし,P-HSP27については,遠隔転移のない群では有る群よりも有意にP-HSP27の発現量が高く(P=0.0398),P-HSP27高発現群(n=15)では低発現群(n=34)よりも有意に生存期間が長かった(308日vs. 208日;p=0.0134).Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析によって生存期間に影響を与える因子を検討したところ,P-HSP27低発現と化学療法無効(PD)が有意な予後不良因子となった.【結論】P-HSP27の発現と膵癌の臨床的悪性度には逆相関がみられ,EUS-FNA検体におけるP-HSP27の発現評価が予後を予測する一つの因子となりうる可能性が示唆された.
索引用語