セッション情報 口演

NASH,NAFLD 1

タイトル O-397:

メトホルミンによる肥満関連肝発癌抑制―新規肥満・糖尿病マウス肝発癌モデルを用いた検討―

演者 大野 智彦(岐阜大学消化器病態学)
共同演者 清水 雅仁(岐阜大学消化器病態学), 馬場 厚(岐阜大学消化器病態学), 河内 隆宏(岐阜大学消化器病態学), 久保田 全哉(岐阜大学消化器病態学), 白上 洋平(岐阜大学消化器病態学), 鶴見 寿(岐阜大学消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大学消化器病態学)
抄録 【目的】肥満やそれに関連する生活習慣病,特に糖尿病の患者は近年世界的に増加している.肥満と糖尿病はいずれも肝発癌のリスクを高める.メトホルミンは広く用いられている抗糖尿病薬だが,近年,その抗腫瘍効果が注目されている.今回我々はメトホルミンの肥満・糖尿病関連肝発癌抑制効果について,肥満・2型糖尿病のモデルマウスであるC57BL/KsJ-db/dbマウス(db/dbマウス)を用いて新規肝発癌モデルを作成し検討した.【方法】db/dbマウスを対照群(無処置群),メトホルミン単独投与群,肝化学発癌物質DEN単独投与群,DENおよびメトホルミン併用群の4群に分け,24週齢時に剖検した.DEN(25mg/kg)は2週齢時に腹腔内投与し,メトホルミン(300mg/kg/day)は4週齢時より飲水投与した.【結果】4群間で体重,肝臓重量,内臓脂肪重量に差は認めなかった.DEN単独投与群と比較しDENおよびメトホルミン併用群において,肝前癌病変foci of cellular alterationの発生数と,肝腫瘍(adenomaおよびhepatocellular carcinoma)の発生率は有意に抑制された.またDEN単独投与と比較しDENおよびメトホルミン併用群において,血清インスリン値,血清レプチン値,HOMA-IRは有意に低下するとともに,血清アディポネクチン値およびQUICKIは有意に上昇し,肝臓におけるAkt,mTOR,p70S6蛋白のリン酸化が抑制された.【結語】メトホルミンは,PI3K/Akt/mTORシグナルの抑制と血清アディポカインレベルの是正(高レプチン血症,低アディポネクチン血症の改善)を介して,DEN誘導肥満・糖尿病関連肝腫瘍形成を抑制した.メトホルミンによる肥満・糖尿病関連肝発癌予防の可能性が示唆された.
索引用語