セッション情報 口演

NASH,NAFLD 1

タイトル O-400:

肥満,非アルコール性脂肪性肝疾患,糖尿病患者における血中分岐鎖アミノ酸の変化

演者 岩佐 元雄(三重大学消化器内科学)
共同演者 石原 知明(四日市消化器病センター消化器・肝臓内科), 諸岡 留美(三重大学消化器内科学), 宮地 洋英(三重大学消化器内科学), 杉本 龍亮(三重大学消化器内科学), 田中 秀明(三重大学消化器内科学), 藤田 尚己(三重大学消化器内科学), 小林 由直(三重大学消化器内科学), 長谷川 浩司(三重中央医療センター消化器科), 垣内 雅彦(みえ消化器内科), 竹井 謙之(三重大学消化器内科学)
抄録 【目的】肥満,メタボリック症候群,糖尿病患者では血中分岐鎖アミノ酸(BCAA)が高値を示すことが知られているが,その機序や意義は明確になっていない.基礎領域では,BCAA代謝酵素BCAT欠損マウスで血中BCAAが高く,高脂肪食に抵抗性であるとする報告がある一方,高脂肪食とBCAAを同時に摂取するとインスリン抵抗性が惹起されるとの報告もみられる.大規模疫学研究では,血中BCAA高値者はその後の2型糖尿病(DM)発症が高率である一方で,BCAA高摂取がDM発症に抑制的に働くことが報告されている.本研究では,肥満,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD),DM患者を対象に血清BCAA,tyrosineを測定し,各種臨床パラメーターとの関係を検討した.【方法】対象はBMI 25kg/m2以上の肥満者,またはNAFLD,2型DM患者84例(男40例,女44例,平均67歳,平均BMI25.2)で,血清総BCAA/tyrosineモル比を測定し,BCAA,tyrosineと各種臨床パラメーターとの相関関係を解析した.【結果】肥満,NAFLD,DM患者においては,BCAAとtyrosineに良好な正の相関関係(rs=0.474,P<0.001)が認められた.BCAAはHDL-C,TG,HbA1cと相関し,メタボリック症候群の諸因子の増悪と並行して上昇していた.BCAAはALTと正の相関関係(P<0.05)が認められ,肝脂肪化との関連も示唆された.BCAAは高感度CRP,フェリチンと正相関(P<0.05,P<0.001)を示し,炎症,鉄過剰との関連もみられた.一方,tyrosineと臨床検査値との関連性は概して乏しかった.【結論】既報通り,肥満,NAFLD,DMではBCAAが高値を示し,メタボリック症候群の諸因子や炎症,鉄過剰との関連が認められた.今後,これらの疾患において,抗酸化作用を有するBCAAが代償的に上昇しているのか検討する必要がある.
索引用語