セッション情報 口演

NASH,NAFLD 2

タイトル O-403:

NASH病態形成におけるオートファジーとアポトーシスの意義

演者 田中 聡司(大阪大学消化器内科学)
共同演者 疋田 隼人(大阪大学消化器内科学), 中堀 輔(大阪大学消化器内科学), 齋藤 義修(大阪大学消化器内科学), 清水 聡(大阪大学消化器内科学), 阪森 亮太郎(大阪大学消化器内科学), 宮城 琢也(大阪大学消化器内科学), 巽 智秀(大阪大学消化器内科学), 竹原 徹郎(大阪大学消化器内科学)
抄録 【背景/目的】NASHでは肝細胞アポトーシスの亢進が報告されているが,そのメカニズムは明らかでない.そこで本研究ではNASHにおける肝細胞アポトーシス誘導機構を,オートファジーとの相互関係の視点から検討を行った.
【方法/結果】ヒト肝癌細胞株(HepG2)やマウス肝細胞株(CL2)にパルミチン酸(PA)を投与すると,LC3-IからLC3-IIへのシフトを認めるも,P62蛋白蓄積を認め,PAはオートファジーの後期段階を抑制した.またPA投与により小胞体(ER)ストレス活性化を介してCaspase-3/7活性は上昇し,アポトーシスが誘導された.PA投与時にsiRNAを用いてAtg7をknockdown(KD)しオートファジーを強力に抑制するとアポトーシスは亢進し,RubiconをKDしオートファジーを亢進させると,ERストレス・アポトーシスは抑制された.
一方,野生型(WT)マウスに高脂肪食を投与すると,1ヶ月後に肝臓でオートファジー抑制を,3ヶ月後にERストレス上昇及び肝細胞アポトーシスを認め,1年後に約40%の個体で肝線維化を伴って肝発癌を認めた.高脂肪食を1ヶ月摂取させたMx1-Cre Atg7fl/flマウスにpoly IC投与しAtg7遺伝子を欠損させオートファジーを抑制すると,肝細胞アポトーシスは亢進し,肝障害が増悪した.また,高脂肪食4ヶ月摂取させたWTマウスにin vivo siRNAを用いてRubiconをKDしオートファジーを亢進させると,肝障害が改善した.
【考察/結語】過剰脂肪酸はオートファジーを抑制し,ERストレスを上昇させて肝細胞アポトーシスを誘導した.持続的肝細胞アポトーシスは,肝線維化・肝発癌を誘導することから,NASHではオートファジー抑制による持続的肝細胞アポトーシスが,肝線維化・肝発癌に寄与していると考えられた.NASHに対して,オートファジー誘導が新規治療法となる可能性が示唆された.
索引用語