セッション情報 口演

NASH,NAFLD 2

タイトル O-405:

脂肪性肝疾患全国調査からみた薬物性NASHの臨床的特徴

演者 福村 敦(金沢医科大学肝胆膵内科)
共同演者 林 伸彦(金沢医科大学肝胆膵内科), 齊藤 隆(金沢医科大学肝胆膵内科), 角田 真弘(金沢医科大学肝胆膵内科), 湊 貴浩(金沢医科大学肝胆膵内科), 松江 泰弘(金沢医科大学肝胆膵内科), 尾崎 一晶(金沢医科大学肝胆膵内科), 土島 睦(金沢医科大学肝胆膵内科), 堤 幹宏(金沢医科大学肝胆膵内科)
抄録 【目的】NASHはその病因から,肥満やインスリン抵抗性を基盤とする一次性NASHと薬物など原因を推定できる二次性NASHに分類されるが,最近の薬物性NASHの実態については明らかではない.そこで,厚労省樋口班「わが国における飲酒の実態調査およびアルコールに関する生活習慣病とその対策に関連する総合的研究」に基づき施行した脂肪性肝疾患全国調査をもとに,近年の薬物性NASHの臨床的特徴を一次性NASHと比較検討した.【方法】対象は,NASHの被疑薬を服用していたDrug群(D群)15例(男性4例,女性11例,平均年齢51.9±16.5歳)と,D群が報告された同施設で診断された一次性NASH,Primary群(P群)224例(男性117例,女性107例,平均年齢53.1±15.1歳)である.D群とP群で,BMI,血圧,空腹時血糖,HbA1c,総コレステロール,HDL-コレステロール(HDL-C),中性脂肪,AST,ALT,AST/ALT比,γ-GTPおよび生活習慣病(DM,HT,HL)の合併頻度を比較した.【成績】D群の原因薬剤は,ステロイドが10例(67%)と半数以上を占めた.他の薬剤は,タモキシフェン,アナストロゾール,タモキシフェン+アナストロゾール併用,合成エストロゲン,ビカルタミドがそれぞれ1例ずつであった.BMIは,D群28.9±4.9kg/m2,P群28.5±5.1kg/m2と差はなく,血液生化学マーカーでは,空腹時血糖とHDL-CのみがD群でP群よりも有意に高かった.また,生活習慣病の合併数を,「なし,0,1,2,3因子」でみるとD群ではそれぞれ13.3%,26.7%,40%,20%であり,P群では18%,32%,30%,20%と,D群で多い傾向にあった.【結論】薬物性NASHは一次性NASH同様に生活習慣病の合併が多く,生活習慣病の治療が重要と考えられた.薬物性NASHで空腹時血糖およびHDL-Cが高かった理由として,ステロイド投与例が半数以上占めていたことが推察された.
索引用語