セッション情報 口演

NASH,NAFLD 3

タイトル O-408:

胆嚢摘出は非アルコール性脂肪肝(NAFLD)のリスクとなる

演者 大洞 昭博(朝日大学村上記念病院消化器内科)
共同演者 小島 孝雄(朝日大学村上記念病院総合健診センター), 濱口 真英(大阪大学免疫学フロンティア研究センター), 加藤 隆弘(朝日大学村上記念病院消化器内科)
抄録 【目的】生活習慣やメタボリックシンドローム(MetS)とNAFLDや胆嚢疾患との関連について我々は報告してきたが,胆摘後においてNAFLDが増加する(Am J Gastroenterol 2013;108:952-959)との報告があり,本邦においても胆摘がNAFLDの危険因子となりうるか否かについて検討した.【対象と方法】2004~2010年に当院健診センターを受診した24038名のうち,同意が得られ,ウイルス性肝炎等の慢性肝疾患や何らかの悪性腫瘍の既往歴や飲酒習慣のない15554名,平均年齢46.3歳(男性8126名,女性7428名,男性平均46.6歳,女性平均45.1歳)を対象とした.生活習慣は健診受診時の問診を,身体所見や血液生化学検査所見は健診結果を,胆嚢疾患と脂肪肝の診断は腹部超音波検査結果を用いた.脂肪肝の中で飲酒量がエタノール換算で20g以下/日の者をNAFLDとした.【結果】正常胆嚢群は,男性6761名・女性6623名.胆摘群は,男性160名(1.97%)・女性77名(1.03%).胆嚢疾患(胆石+胆嚢ポリープ)群は,男性1205名(14.8%)・女性728名(9.8%)であった.NAFLDの頻度は正常群で男性/女性=33.9/10.0%.胆摘群では,42.5/28.6%.胆嚢疾患群は,33.6/10.0%であった.胆摘群は男女ともに正常群や胆嚢疾患群より有意(男性p=0.028,女性p<0.001)にNAFLDの頻度が多かった.胆摘群のMetSの頻度は,男性/女性=18.8/15.6%で,正常群(18.0/7.0%)に比して,その頻度には有意差を認めなかった.年齢,MetS,生活習慣を共変量にNAFLDの有無に対するオッズ比を算出したところ,MetSや加齢,胆摘(オッズ比:男性/女性=1.57/2.61,共にp<0.001)が有意な危険因子であった.運動習慣は抑制因子で男性/女性=0.65/0.73(共にp<0.001)であった.【結論】今後,前向き研究による検討が必要と思われるが,胆摘は,メタボリックシンドロームとは独立したNAFLDの危険因子である可能性があると考えられた.
索引用語