セッション情報 | 口演NASH,NAFLD 3 |
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タイトル | O-409:膵頭十二指腸切除後のNAFLDに対するリスク因子と対策 |
演者 | 佐藤 梨枝(三重大学肝胆膵・移植外科) |
共同演者 | 岸和田 昌之(三重大学肝胆膵・移植外科), 村田 泰洋(三重大学肝胆膵・移植外科), 種村 彰洋(三重大学肝胆膵・移植外科), 安積 良紀(三重大学肝胆膵・移植外科), 栗山 直久(三重大学肝胆膵・移植外科), 水野 修吾(三重大学肝胆膵・移植外科), 臼井 正信(三重大学肝胆膵・移植外科), 櫻井 洋至(三重大学肝胆膵・移植外科), 田端 正己(三重大学肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大学肝胆膵・移植外科) |
抄録 | 目的:肥満,高脂血症などに伴う非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は肝への脂肪沈着を背景に炎症などのsecond hitが加わることにより,肝線維化の進展をもたらすことが明らかにされている.膵頭十二指腸切除(PD)後にも高率にNAFLDが発生するが,その発生機序に関しては不明な点が多い.今回,PD後NAFLDの背景を明らかにし,また術後の炎症性合併症がsecond hitとなりうるかを検討した.方法:対象は2007年4月~2012年3月のPD139例中,半年以上の経過観察を行えた110例(膵癌58例,IPMN21例,胆管癌9例,乳頭部癌4例,その他の膵腫瘍7例,転移性膵腫瘍3例,良性疾患5例).肝CT値≦40HU以下をNAFLDとし,栄養状態の評価としてはAlb,T-cholの経時的変化を用いた.炎症性合併症は術後安定期のWBC異常(WBC<4,000未満or≧12,000以上)と定義した.結果:NAFLDの発生は44例(40%)に認められた.NAFLDの発症時期は術後3ヶ月以内が90%であり,NAFLD発症例における栄養状態を評価すると(術前,術後1,3,6ヶ月)でAlb(3.9,3.0,3.4,3.6),T-chol(177,103,128,115)と術前と比べ術後1ヵ月で有意に低値であり(p<0.05),Alb値は術後3ヶ月から回復を認めたが,T-cholは上昇を認めなかった.NAFLD発生に対する多変量解析では女性,残膵容積10cm3未満(正常膵容積の約10~15%に相当),炎症性合併症が独立したリスク因子であった.またNAFLD発症例44例中16例に肝CT値≧40への改善を認めたが,改善例中13例には膵酵素大量投与が施行されていた.結論:PD後NAFLDは大量膵切除後の膵外分泌機能不全などによる低栄養状態時に短期間で発症しており,通常のNAFLDとは全く異なる背景を持っていた.膵酵素大量投与による改善が期待できるが,術後炎症性合併症がsecond hitとして働いている可能性が示唆され,合併症対策も重要であると考えられる. |
索引用語 |