セッション情報 口演

B型肝炎

タイトル O-410:

B型慢性肝疾患における核酸アナログ投与例のHBsAg減少量に関連する因子

演者 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター消化器内科)
共同演者 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 松浦 敬憲(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 﨏本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター消化器内科)
抄録 【目的】B型慢性肝疾患治療ではHBsAgの低下さらに消失が長期目標に設定されている.しかし核酸アナログ(NA)投与例ではHBsAgの低下が少なくHBsAg消失はさらにまれである.そこでHBsAgの低下や消失が期待できる症例を明らかにするためにHBsAg減少量に関連する因子を検討した.【対象と方法】対象は核酸アナログを1年以上継続投与したB型慢性肝疾患で,HBsAg(CLIA法)を1年以上経時的に測定した123例(男性85例,女性38例)である.NA投与期間(以下中央値)は56カ月(14~146カ月),観察期間は24か月(12~63カ月),治療開始時の年齢53歳,肝硬変33例,HBeAg陽性59例,HBV-DNA≧7.0Log copy/mL 50例,LAMおよびETV108例,ADV併用15例であった.経時的なHBsAg(IU/mL),平均年間HBsAg減少量(LogIU/mL,以下ΔHBsAg)と背景因子,HBcrAg(CLEIA法)との関連を検討した.【成績】ΔHBsAgは0.10±0.27LogIUであった.ΔHBsAgは年齢,肝硬変の有無,HBV-DNA量,ADV併用の有無,IFN治療歴の有無,観察開始時のHBsAg(800未満vs800以上)において差はなかったが,HBeAg陽性例(0.15 vs 0.05LogIU,p=0.020),最終観察時のHBsAg<100(0.36 vs 0.07LogIU,p=0.016)で有意に大きかった.また最終観察時にHBsAg<100となる群ではNA治療期間が有意に長かった(73.3カ月vs 56.6カ月,p=0.041).最終観察時にHBsAg<80を達成したのは14例,HBcrAg<3.0LogIU/mLも達成したのは4例であった.HBsAg<80の9例中3例が15~27カ月でHBsAgが消失した.この3例はΔHBsAgも大きかった(0.33~1.61LogIU)がHBcrAgは3.0~3.9であった.NA投与中にHCCが発生した7例はNA投与開始時にHCCを合併していた13例に比べてΔHBsAgが有意に少なかった(-0.02 vs 0.14LogIU,p=0.035).【結論】核酸アナログ治療ではHBeAg陽性例,長期投与例でHBsAgが低下しやすく,80IU/mL未満まで低下する症例では高率にHBsAgの消失が期待できる.
索引用語