セッション情報 | 口演B型肝炎 |
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タイトル | O-413:B型慢性肝疾患に対するエンテカビル長期投与によるHBs抗原消失について |
演者 | 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院内科) |
共同演者 | 熊井 達男(福井県済生会病院内科), 上田 晃行(福井県済生会病院内科), 松田 尚登(福井県済生会病院内科), 真田 拓(福井県済生会病院内科), 新 浩一(福井県済生会病院内科), 渡邊 弘之(福井県済生会病院内科), 登谷 大修(福井県済生会病院内科), 田中 延善(福井県済生会病院内科) |
抄録 | 【目的】B型慢性肝疾患(CHB)に対する核酸アナログ製剤(NA)であるエンテカビル(ETV)投与は,肝炎の鎮静化に有用であるが,HBs抗原陰性化達成率はきわめて低いと報告されている.しかしETVの長期投与によるHBs抗原の消失については,今だ明確にされていない.当院のETV投与例のHBs抗原消失について検討した.【対象と方法】これまで当院でETV投与を行ったCHB 267例のうち6ヶ月以上投与しHBs抗原の推移の観察が可能であった143例(男性94例,女性49例,年齢27~87歳(中央59歳))を対象とした.内訳は,他のNAからの切り替え21例,CH 103例,LC 20例,HCC 20例,HBe抗原陽性49例,陰性94例,ALT中央値48IU/L,HBVDNA中央値5.8 log copies/ml,HBV Genotypeは測定した119例中A:2例(1.7%),B:26例(21.8%),C:91例(76.5%)であった.ETV 6~82ヶ月(中央42ヶ月)でのHBs抗原消失有無,HBs抗原量の推移を観察した.また投与5年以上例と5年未満例での比較を行った.HBs抗原累積消失率,消失に寄与する因子の検討は,Kaplan-Meier法,Logrank検定にて行った.HBs抗原測定は,アーキテクト(HBsAgQT:0.05~250IU/ml)にて行った.【成績】観察期間中5例で,HBs抗原が消失し(7,8,37,60,69ヶ月目),累積HBs抗原消失率は3年1.4%,4年2.6%,5年5.3%,6年9.4%であった.HBs抗原消失に寄与する有意な背景因子はみられなかった.また他の22例でHBs抗原量が80IU/ml未満を呈し,消失例と合わせ27例(18.9%)でHBs抗原量80IU/L未満となった.HBs抗原80IU/ml未満達成率を,投与後5年以上経過した44例と投与後5年未満99例(投与途中中止8例を含む)間で比較すると,投与後5年以上で12例27.3%,5年未満で15例15.2%と,投与後5年以上で高い傾向にあった(p=0.1064).投与後5年以上例と5年未満例の間で背景因子に差はなかった.【結論】ETV投与によるHBs抗原消失率は低いものの,5年以上の長期投与により高くなる可能性があるものと思われた. |
索引用語 |