セッション情報 口演

B型肝炎

タイトル O-414:

当院におけるB型肝炎に対するエンテカビル長期投与の治療効果

演者 渡辺 崇夫(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学)
共同演者 徳本 良雄(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 多田 藤政(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 越智 裕紀(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 小泉 洋平(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 廣岡 昌史(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 阿部 雅則(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学), 日浅 陽一(愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学)
抄録 [目的]エンテカビルはB型肝炎に対する核酸アナログ製剤の第一選択として認識されている.2006年の発売以降投与期間が長期に及ぶ症例も蓄積されてきている.今回演者らはエンテカビル長期投与による治療効果について解析することを目的とした.[方法]対象は当院においてエンテカビル治療歴が2年以上あるB型肝炎患者73例.男性52例,女性21例.エンテカビル開始時の年齢は53.6±11.9歳.ラミブジンからの切り替え症例6例,新規投与例67例.エンテカビル投与開始後から経時的にHBV-DNA量,ALT,アルブミン,PTを解析した.[結果]新規投与例のうちHBeAg陰性例は38例,HBeAg陽性例は29例であった.開始時のHBV-DNA量は6.4±2.1 logcopies/ml.HBV-DNA陰性化率はHBeAg陰性例では24ヶ月で97.3%(37/38),48ヶ月で96.1%(25/26),HBeAg陽性例ではぞれぞれ76.4%(26/34),80.7%(21/26)でありHBeAg陰性群で高かった.経過中HBsAgの陰性化は見られなかった.ALTは投与開始後3ヶ月の時点で正常化した.break through hepatitisは1例も見られなかった.アルブミンは投与開始後60ヶ月後で4.22±0.42 g/dlと投与開始前の3.92±0.48 g/dlに比べて有意に上昇した(p=0.005).PTは投与開始後60ヶ月後で97.3±16.0%と投与開始前(88.5±18.4%)と比べて有意に上昇し(p=0.01),肝予備能の改善がみられた.経過中に非代償性肝硬変へ進行はみられなかった.また投与中に肝発癌を来した症例は7例あり,発生率は年率1.9%でB型肝炎の想定される発生率(約3%)に比べて低値であった.[結論]エンテカビル長期投与で肝予備能の改善,発癌率の低下がみられた.
索引用語