セッション情報 口演

B型肝炎 臨床経過

タイトル O-419:

B型慢性肝炎における組織学的病勢病期と臨床背景との乖離

演者 横須賀 淳(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科)
共同演者 石川 智久(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 相澤 摩周(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 水野 雄介(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 石田 仁也(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 佐伯 千里(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 北原 拓也(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 佐藤 憲一(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 天野 克之(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 原田 徹(東京慈恵会医科大学病理), 穂苅 厚史(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 銭谷 幹男(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科), 羽野 寛(東京慈恵会医科大学病理), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科)
抄録 【目的】B型慢性肝炎(CHB)の病勢病期診断は,治療選択や予後診断で必須となる.組織学的病勢病期(HSG)と血液生化学検査(LD)との乖離について検討した.【方法】肝生検を実施したB型慢性肝炎(CHB)51例(男性41例,女性10例)の54検体で検討した.生検時,40.9±10.3歳で核酸アナログ製剤(NA)耐性再燃の1検体以外,NAやInterferon未使用の非担癌例である.生検時にAST,ALT,γ-GTP,ALP,血小板(Plt)を測定,HBs-Ag,HBe-Ab及びAg,HBV-DNAを測定,HSGの評価は新犬山分類(grading A;A0-3,staging F;F0-4)に準じた.HSGと個々臨床背景を比較検討した.【成績】HSGはA:1.70±0.63(A0-1;19例,A2;31例,A3;4例),F:1.69±0.77(F0-1;24例,F2;23例,F3-4;7例)でF4は1例のみであった.年齢とHSGには差異はなかった.ALT≦35IU/l(N-ALT)であった8例においても,A;1.00±0.76,F;1.13±0.99となり,A0は1例のみであった.一方,組織学的活動性が軽微であったA0-1;19例(35.2%)では,AST 39.3±26.1,ALT 76.0±91.3(IU/l)となり,N-ALTは4例のみであった.HBV-DNA量とHSGには有意な相関は確認されなかった.AとAST(r=0.53)及びALT(r=0.54)に有意な相関が確認された(p<0.001).A階層化別の検討では,A0-1とA2でAST,ALT,γGTPに有意差を認めた.一方,F階層化別では,Pltを含めてLDには有意差はなく,FIB-4とAPRI(asparate aminotransferase platelet ratio index)にも差異は確認なかった.【結論】AST,ALTとAに相関が確認されたが,N-ALTでも肝局所の壊死炎症を認めた.FIB-4,APRIでは線維化進展の予測が困難であり,生検によるHSG評価が重要であることが再確認された.
索引用語