セッション情報 |
口演
B型肝炎 臨床経過
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タイトル |
O-420:HBe抗原陰性非活動性キャリアの長期経過
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演者 |
今関 文夫(千葉大学総合安全衛生管理機構) |
共同演者 |
新井 誠人(千葉大学消化器・腎臓内科), 神田 達郎(千葉大学消化器・腎臓内科), 藤原 慶一(千葉大学消化器・腎臓内科), 太和田 暁之(千葉大学消化器・腎臓内科), 横須賀 收(千葉大学消化器・腎臓内科) |
抄録 |
【目的】HBe抗原陰性非活動性キャリア(IC)は,1年以上の観察期間のうち3回以上の血液検査において,HBe抗原陰性,ALT≦30 U/l,HBV DNA<4 log copies/mlの3条件すべてを満たす症例と日本肝臓学会のガイドラインで定められている.今回,ICと診断された症例の長期経過を検討した.【方法】2002年から2005年に当院消化器内科を受診したHBe抗体陽性キャリアのうち1年以上経過観察可能であった171例を対象とした.観察開始1年間の経過からICと診断された70例(A群,年齢中央値45歳(5~76),男/女=30/40,観察期間中央値8.0年(1.3~9.1))と最初の1年間のHBV DNA≧4.0に変動した101例(B群,年齢中央値47歳(15~86),男/女=52/49,観察期間中央値6.8年(1.3~9.1))の1年以後のHBV DNA量の推移を検討した.HBV DNA定量はアンプリコア法(log copies/ml),HBsAg定量はCLIA法(IU/ml;Sysmex社),HBcrAgはCLEIA法(LogU/ml;富士レビオ社)にて行った.【結果】A群のうち1年以後も持続的にHBV DNA<4.0,ALT≦30を示したIC-1群は37例(52.9%),HBV DNA<4.0だがALT>30に変動したIC-2群は17例(24.3%),HBV DNA≧4.0に変動したRC群は16例(22.9%)で,肝発癌例,抗ウイルス剤投与例は認めなかった.IC-1群とRC群の登録時の背景因子の比較では,HBV DNA量(中央値2.7(<2.6~3.9)vs 3.1(2.7~3.9),p=0.0022),HBsAg量(中央値1034(0.06~35799)vs 4609(112~23847),p=0.0211)が有意であった.一方,B群のうち1年以後も持続的にHBV DNA≧4.0を変動する93例(92.1%)とHBV DNA<4.0に安定した8例(7.9%)の登録時背景因子に有意差は認められなかった.肝発癌は9例で前者の93例のみから見られた.【結論】HBe抗体非活動性キャリアと診断され,1年以後にHBV DNA≧4.0に変動した症例が22.9%に見られたが,長期予後は良好であった.持続的非活動性キャリアの鑑別にはHBV DNA量とHBsAg量が有用であった. |
索引用語 |
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