セッション情報 口演

B型肝炎 臨床経過

タイトル O-421:

HBe抗体陽性キャリア症例の長期経過に関する検討

演者 今中 大(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 森内 昭博(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 大野 香織(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 椨 恵理子(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 椨 一晃(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 大重 彰彦(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 小田 耕平(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 熊谷 公太郎(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 馬渡 誠一(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】HBVキャリアの多くは,非活動性キャリアとして無症候性に経過するが,その肝発癌率や長期予後に関する大規模な検討は行われていない.今回我々は,当科初診時HBe抗体陽性HBVキャリア症例の肝発癌率及び長期予後について検討した.【方法】対象は,2001年4月から2010年3月までに当科を受診し複数回の受診歴のあるHBe抗体陽性HBVキャリア症例105例.1)初診時肝癌(HCC)非合併群(81例),HCC合併群(24例)の2群に分類し,両群での年齢,性別,ALT値,血小板数,転帰を比較した.2)初診時HCC非合併症例において,経過観察中に肝発癌しなかった非発癌群(77例)と発癌した肝発癌群(4例)に分類し,両群での各因子を比較した.3)さらに,HCC非合併群を年齢,ALT値などの因子で2群に分類し,両群での肝発癌率を比較した.【結果】全症例における年齢は中央値60歳,男性:女性61:44,観察期間は中央値41.3ヶ月,生存:死亡=97:9であった.1)HCC非合併群とHCC合併群では,年齢とALTはHCC合併群において有意に高値で,血小板はと有意に低値であった.2)非発癌群及び肝発癌群間では各因子で有意差は認めなかった.3)HCC非合併群において,60歳以上の症例では60歳未満の症例と比較して有意に肝発癌率が高かった.また,ALTによっては肝発癌率に差は認めず,ALT30IU/L未満の症例からも2例の肝発癌を認めた.【結論】肝発癌群が少数であり,肝発癌に関与する因子は認められなかったが,初診時にHCCを合併していた群は,高齢で,血小板が低値であった.また,HBe抗体陽性例での肝発癌率は1.3%/年と,既報の未治療HBVキャリア症例での2.4%/年と比較し低率であった.一方で,ALTが正常値の症例からも,肝発癌例を認めることから,定期的HCCスクリーニングは不可欠と考えられる.
索引用語