セッション情報 ポスター

症例その他(胃)

タイトル P-001:

進行性腎細胞癌に対する分子標的治療薬中に重篤な消化管出血を来した3症例についての検討

演者 藤原 新太郎(香川大学医学部消化器・神経内科)
共同演者 森 宏仁(香川大学医学部消化器・神経内科), 小原 英幹(香川大学医学部消化器・神経内科), 松永 多恵(香川大学医学部消化器・神経内科), 西山 典子(香川大学医学部消化器・神経内科), 綾木 麻紀(香川大学医学部消化器・神経内科), 谷内田 達夫(香川大学医学部消化器・神経内科), 尾立 磨琴(香川大学医学部消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学医学部消化器・神経内科)
抄録 【はじめに】近年,大腸癌,肝癌,腎細胞癌など各種の固形癌に対して分子標的治療薬による治療が積極的に行われている.今回,進行性腎細胞癌に対して分子標的治療薬中に重篤な消化管出血を起こした3症例について報告する.【症例1】43歳女性.主訴は吐下血と意識障害.2009年11月に腎細胞癌に対して腎臓摘出術を施行.2012年5月より分子標的治療薬テムシロリムスによる治療開始される.治療開始後8週間後に,急激な貧血の進行および吐下血の後,ショック状態となり,当科紹介.血液生化学所見ではHb=2.9と著明に低下しており,輸血など全身管理を行いながら出血源精査のため,緊急内視鏡検査を施行した.幽門前庭部から胃体下部にかけて毛細血管拡張を多数認め,同部位より滲出性出血がみられたため,アルゴンプラズマ凝固療法(APC)で焼灼凝固を施行.全経過中に内視鏡治療としては計4回のアルゴンプラズマ凝固療法による内視鏡的止血術と合計40単位のMAP輸血とFFP8単位による輸血を必要とした.【症例2】79歳男性.主訴は吐下血と血圧低下.2008年12月に腎細胞癌に対して根治的右腎摘出術を施行.2013年6月より分子標的治療薬ソラフェニブによる治療開始される.治療開始後13週間後に吐下血の後,ショックとなり当院へ救急搬送.緊急内視鏡検査では胃体上部から穹隆部にかけて不正形潰瘍が多発しており,その内の潰瘍底から滲出性出血がみられ,止血鉗子にて内視鏡的止血術を施行した.施行後経過良好で,入院後第14病日に退院となった.【考察】進行性腎細胞癌に対して分子標的治療薬中に重篤な消化管出血を起こした3症例のうち全ての症例においてPPIなど胃薬は内服されており,治療前の内視鏡所見では出血性病変を認めていなかった.【結語】今後,分子標的治療薬の使用症例の増加が予想されるため,定期的な血液検査および上部消化管内視鏡検査などによるフォローが必要である.
索引用語