セッション情報 ポスター

症例その他(胃・十二指腸1)

タイトル P-007:

十二指腸潰瘍穿孔にて発症し4度の再発で診断に至った好酸球性胃腸炎の1例

演者 吉見 健太郎(神戸労災病院消化器内科)
共同演者 久保 公了(神戸労災病院消化器内科), 森 健次(神戸労災病院消化器内科), 山東 功佳(神戸労災病院消化器内科), 的場 是篤(神戸労災病院消化器内科), 石原 禎子(神戸労災病院消化器内科), 有吉 隆佑(神戸労災病院消化器内科), 中田 一弥(神戸労災病院消化器内科), 坂本 洋一(神戸労災病院消化器内科)
抄録 【はじめに】好酸球性胃腸炎(EGE)は食道から大腸まであらゆる部位に異常な好酸球の浸潤が起こる稀なアレルギー疾患である.今回,我々は計5度の十二指腸潰瘍(DU)の治療過程でEGEの診断に至った症例を経験したので報告する.【症例】33歳,男性【主訴】心窩部痛【既往歴】2012年10月にDU穿孔を発症し保存的に治癒.以降1年間に計4度のDUにて加療歴あり(いずれも内視鏡にて発症・瘢痕化を確認),ピロリ菌陰性【生活歴】特記すべきアレルギー歴なし,PPI以外の薬剤内服歴なし【現病歴】2013年9月1日から誘因なく心窩部痛が出現.3日には黒色便を認め,持続するため4日に当科受診.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球部に活動性潰瘍を認め精査・加療目的に入院.【経過】血液検査にて好酸球600/μl台と増加あり,内視鏡にて食道に縦走溝を認めた.同部の生検にて20/HPFを超える好酸球浸潤を認めた為,EGEによる一元的な病態を考慮し再度消化管検索を施行.胃びらん,DU辺縁の生検検体からも20/HPFを超える好酸球浸潤を認めた.他の好酸球増多症の除外目的に各種血液検査(寄生虫抗体,各種自己抗体など),糞便検査,骨髄穿刺,造影CTなどを施行するも他疾患を示唆する所見を認めず.画像上,少量腹水あり.血清学的には多数の抗原にアレルギー素因を有した.また,過去に遡り2度目のDU発症の際に採取された胃びらんの生検検体でも20/HPFを超える好酸球浸潤を認めた.以上の結果から,これまでの一連の病態をEGEに起因するものと診断した.DUおよび心窩部痛に対するPPIの効果が乏しく,診断確定後PSL 30mg/日にて治療開始.血中好酸球の正常化及び潰瘍の治癒,腹部症状の消失を認め,投稿時点までに再発所見を認めていない.【考察】EGEの病態として再発性DUを来たした希少な症例であった.【結語】近年のEGEに対する認知度の高まりの中,診断に至らず治療に難渋した経緯も踏まえ,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語