セッション情報 |
ポスター
症例その他(胃・十二指腸1)
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タイトル |
P-008:A型胃炎により発生する異常についての検討
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演者 |
松谷 紀彦(和歌山県立医科大学内科学第一講座) |
共同演者 |
石橋 達也(和歌山県立医科大学内科学第一講座), 太田 敬之(和歌山県立医科大学内科学第一講座), 川嶋 弘道(和歌山県立医科大学内科学第一講座), 若崎 久生(和歌山県立医科大学内科学第一講座), 古田 浩人(和歌山県立医科大学内科学第一講座) |
抄録 |
A型胃炎による異常として,ビタミンB12の吸収障害から,巨赤芽球性貧血を呈する他に,アミノ酸代謝障害を来たしホモシステイン値が上昇する事を以前に報告した.今回我々は,A型胃炎によるガストリン異常高値例を経験し,ガストリノーマとの鑑別診断に関する検討を行った.またA型胃炎により発生するであろうと思われる疾患について考察したので,これを報告する.1)55歳女性.副甲状腺機能亢進症精査のため紹介.MEN1検索の際にガストリン5026pg/mLと高値.CT検査での検索では明らかな病変認めず,内視鏡検査にてA型胃炎像を認め,抗胃壁細胞抗体は陽性であり診断.2)72歳女性.耐糖能異常精査目的に紹介.2年前より膵嚢胞と体部に多血性腫瘍を認めており,NET検索のためホルモン検査を行った所ガストリン2563pg/mLと高値.内視鏡検査にてやはりA型胃炎像を認め,抗胃壁細胞抗体・内因子抗体共に陽性であり診断した.A型胃炎は体上部を中心とした粘膜萎縮を認める.体上部には胃酸を分泌する壁細胞が多く存在し,その結果胃内は低酸状態となる.ガストリン分泌は胃内のpHに依存しており,常に低酸状態が継続する事でガストリン分泌は亢進状態となる.A型胃炎においてガストリン値の記載がある報告をまとめた結果,32症例でガストリン値は平均2358.1pg/mLであった.A型胃炎による胃粘膜障害によりビタミンB12の吸収障害からDNA合成が阻害され造血機能障害を来たしたり,アミノ酸代謝障害を来たす.また胃酸分泌が低下する事で高ガストリン血症を惹起し,その結果として胃カルチノイドの発生が報告されている.また他の内分泌疾患と合併する多腺性自己免疫症候群の一面としても考慮する必要がある.特に発症しても続発する疾患がなければ無症状であり,有意な検査所見もない為,内視鏡検査でA型胃炎を疑う事が多面的な病態を発見する端緒となりえると考える. |
索引用語 |
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