セッション情報 ポスター

胃癌

タイトル P-016:

胃癌化学療法(SP療法)における血清DAO活性の推移と消化管毒性との関連

演者 東原 良恵(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科)
共同演者 加藤 順子(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科), 長田 太郎(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科), 泉 健太郎(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科), 芹澤 信子(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科), 永原 章仁(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学医学部付属順天堂医院消化器内科)
抄録 【目的】切除不能進行胃癌に対するSP(TS1+CDDP)療法は本邦において,標準治療であり,副作用に消化器毒性を認めることが多い.近年,DAO(ジアミンオキシダーゼ)活性は小腸の絨毛上皮で活性が高く,抗がん剤投与により低下することが知られている.そのため,血清DAO活性は抗がん剤による消化器毒性出現の予測マーカーとして期待されている.今回,我々は胃癌化学療法(SP療法)時の血清DAO活性を測定し,消化管毒性の関連を検討した.【方法】切除不能進行胃癌でSP療法を1コース施行した7名を対象とした.投与スケジュールは,Day 1にCDDP(60mg/m2),Day 1~21にTS1(80mg/m2)を投与し,Day 22~35を休薬とした.血性DAO活性の測定は,Day 0(2コース目開始直前),Day 8(2コース目1週間後),Day 22(2コース目3週間後),Day 35(3コース目直前)の4回測定し,期間中は症状アンケートを用い,消化管毒性について検討した.【成績】男性6人女性1人,平均年齢は69(55-78)歳.血清DAO活性の測定値mean(range)はDay 0で5.48(3.71-7.14),Day 8で4.50(1.91-6.36),Day 22で3.74(2.4-5.81),Day 35で5.15(3.25-7.14)であった.Day 0の値を基準(1.0)とすると,Day 8,Day 22,Day 35の値(mean±SD)は各々,0.80±0.22,0.65±0.17,0.95±0.20であり,Day 22で有意に低下した(p=0.02).副作用は,Grade 2の食欲不振,悪心嘔吐を1人,Grade 2の便秘を2人,Grade 1の食欲不振を3人,Grade 1の下痢を3人認めたが,重篤な副作用は認めなかった.期間中に下痢症状を認めた3例中2人は,DAO活性が40%以下に低下した.【結論】胃癌に対するSP療法でDAO活性は低下し,休薬期間で投薬前値まで回復することが示された.DAO活性の低下の割合で消化管毒性を予測するマーカーとなり得る可能性が示唆された.
索引用語