セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 内視鏡治療,その他

タイトル P-028:

当院における上部消化管出血例の検討

演者 羽生 泰樹(大阪府済生会野江病院)
共同演者 片山 雅之(大阪府済生会野江病院), 野山 裕揮(大阪府済生会野江病院), 谷村 雄志(大阪府済生会野江病院), 宮本 早知(大阪府済生会野江病院), 西谷 聡(大阪府済生会野江病院), 土屋 さやか(大阪府済生会野江病院), 柴田 倫子(大阪府済生会野江病院), 高 貴範(大阪府済生会野江病院)
抄録 【目的】一般臨床における上部消化管出血の実態を明らかにする.【対象と方法】2011年1月1日~2011年12月31日の1年間に当院で経験した上部消化管出血例をretrospectiveに検討した.【結果】症例は75例,年齢:平均65(31~98)歳,男女比:50:25であった.上部消化管出血の原因疾患は,消化性潰瘍が62%と最多であったが,マロリーワイス裂傷(11%),食道静脈瘤(8%),胃癌(5%),GERD(4%)等も見られた.内視鏡的止血術は51例で施行され,うち2例はIVRへ移行し止血を得た.止血が得られなかった1例は食道静脈瘤破裂例で高度の肝不全を伴っていた.高度肝不全例以外は予後良好であった.抗血栓薬の内服は42%(アスピリン15%,シロスタゾール7%,ワルファリン4%,併用15%),NSAIDの内服は25%,抗潰瘍薬の内服は27%(PPI19%,H2RA3%,防御因子製剤13%,併用3%)でみられた.消化性潰瘍例のうち,ピロリ菌感染診断可能であった38例の検討では,ピロリ菌単独の関与が疑われる例は50%,抗血栓薬/NSAIDの関与が疑われる例は40%でみられ,後者では入院期間が長い傾向があった(平均9日:12日).消化性潰瘍以外の上部消化管出血例において,抗血栓薬の内服が61%と高率にみられた.【結語】消化性潰瘍例のうちピロリ菌単独の関与が疑われる例は減少し,抗血栓薬/NSAIDの関与が疑われる例が増加していることが示唆された.消化性潰瘍以外の上部消化管出血例においても,抗血栓薬の内服が高率にみられ,病因として関与している可能性が示唆された.抗血栓薬/NSAID内服時の適切な出血予防についての指針の確立・普及が望まれる.
索引用語