セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 内視鏡治療,その他

タイトル P-029:

NSAIDs服用者の上部消化管出血例における年齢層による背景因子の違い

演者 市川 裕一朗(藤田保健衛生大学消化管内科)
共同演者 柴田 知行(藤田保健衛生大学消化管内科), 吉田 大(藤田保健衛生大学消化管内科), 河村 知彦(藤田保健衛生大学消化管内科), 大森 崇史(藤田保健衛生大学消化管内科), 城代 康貴(藤田保健衛生大学消化管内科), 角 一弥(藤田保健衛生大学消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大学消化管内科), 宮田 雅弘(藤田保健衛生大学消化管内科), 小村 成臣(藤田保健衛生大学消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大学消化管内科), 中野 尚子(藤田保健衛生大学消化管内科), 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大学消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大学消化管内科), 田原 智満(藤田保健衛生大学消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大学消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大学消化管内科), 大宮 直木(藤田保健衛生大学消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大学消化管内科)
抄録 【背景・目的】WolfeらはNSAIDs服用者の出血危険の要因として高齢,潰瘍既往歴,ステロイド併用,複数又は高用量のNSAIDs服用,抗凝固療法併用,全身疾患合併等をあげている.今回,NSAIDsまたはLDA(低用量アスピリン)を服用している患者で出血性潰瘍にて緊急処置を施した42名につき,年齢層により出血性潰瘍を来す要因に違いがあるか検討した.【方法】対象はNSAIDsを服用している患者で出血性潰瘍にて緊急処置を施した42名.年齢により70歳未満を若年群(以下若)16名(平均年齢63.3歳32-68歳),70歳以上を老年群(以下老)26名(平均年齢78.8歳70-93歳)とし,それぞれの背景因子につき検討した.【結果】若では男女比は11:5であったのに対し老では14:12と女性の比率が高まっていた.NSAIDsで最も多かったのは両群ともロキソプロフェンであった(若対老69.2% vs 68.8%).潰瘍の部位別では若でGUが50%,老で53.8%,と違いを認めなかった.基礎疾患として担癌患者が若で18.8%に対し,老では38.5%と若干多い傾向だった.ステロイドの服用例は若で2例のみであった.複数のNSAIDs服用例は若で12.5%に対し老で34.6%と老で多く,抗血栓薬の併用も若では18.8%であったのに対し,老では34.6%と多い傾向を認めた.PPI製剤の服用比率に差は認めなかったが,粘膜防御製剤は老で有意に多く使用され(老対若,30.7% vs. 0%,p=0.01324),H2RA製剤は有意に若で使用されていた(老対若,30.7% vs. 5.0%,p=0.00631).【結論】出血性潰瘍の背景因子の違いとしては,老年群ではすべての危険因子に於いて若年群より高率である傾向を示した.老年群では危険因子が増える症例を重点的に治療検討し,逆に若年群では更なる背景因子の探索並びに防御系の薬剤等の併用を勧めるべきであると考えられた.
索引用語