セッション情報 ポスター

小腸 カプセル内視鏡

タイトル P-033:

開腹手術歴のある症例におけるPatency capsuleの有用性に関する検討

演者 野阪 拓人(福井大学消化器内科)
共同演者 平松 活志(福井大学消化器内科), 中本 安成(福井大学消化器内科)
抄録 【目的】消化管狭窄にてカプセル内視鏡(CE)を回収する症例が報告されている.狭窄要因としてCrohn病,NSAIDs服用が知られているが,開腹手術歴のある症例においても食物通過遅延をきたすことが多くCE通過遅延や滞留の原因となっている.今回我々は開腹手術歴の有無におけるCEおよびPatency capsule(PC)の開通性,観察率について検討した.【方法】2009年3月から2013年8月までに当院でCE,PCを施行した129例(男性86例,女性43例,平均年齢66.8歳)を対象とし,全小腸観察率,小腸通過時間および病変検出率について開腹手術歴の有無に分けて検討した.PCの対象はCrohn病,NSAIDs服用例以外に開腹手術歴がある症例に対しても開通性を判定した.【結果】CEの全小腸観察率および小腸通過時間は,開腹手術歴あり群(A群)では81.9%(36/44例),312分,開腹手術歴なし群(B群)では75.0%(60/80例),346分でいずれも差は認めなかった.PCはA群で18例に施行し3例(胆嚢摘出・卵巣摘出術後1例,胃Billroth-I法再建術・広範子宮全摘術後1例,小腸切除術後1例)で開通性なしと判定した.A群のうち骨盤内手術歴の有無について検討すると,PCは骨盤内手術歴あり群(C群)の3/4例で開通性なし,骨盤内手術歴なし群(D群)では13例全例で開通性ありと判定し,C群で有意に開通性が不良であった.またPCおよびCEを施行し,最終的にCEで全小腸を観察しえた症例はC群33.3%(2/6例),D群82.9%(34/41例)で,C群で有意に全小腸観察率が低かった.ただし小腸観察時間はC群420分,D群341分,病変検出率はC群100%(3/3例),D群63.4%(26/41例)でいずれも差は認めなかった.【結論】開腹,骨盤内手術歴がある症例においてもPCにて開通性判定することで安全にCE施行することが可能であった.特に骨盤内手術例でPC開通性が不良かつ全小腸観察率が低下しており,その要因として腸管癒着および蠕動遅延が示唆された.これより,CEが考慮される骨盤内手術歴のある症例においてPCを施行することの有用性が示された.
索引用語