セッション情報 ポスター

小腸 症例(IBD)

タイトル P-035:

難治性外瘻を有するクローン病に対してadalimumabを投与した3例

演者 藤原 薫(大阪医科大学第二内科)
共同演者 井上 拓也(大阪医科大学第二内科), 依藤 直紀(大阪医科大学第二内科), 井口 宗威(大阪医科大学第二内科), 坂中 太輔(大阪医科大学第二内科), 楢林 賢(大阪医科大学第二内科), 岡田 俊彦(大阪医科大学第二内科), 柿本 一城(大阪医科大学第二内科), 能田 貞治(大阪医科大学第二内科), 倉本 貴典(大阪医科大学第二内科), 石田 久美(大阪医科大学第二内科), 阿部 洋介(大阪医科大学第二内科), 竹内 利寿(大阪医科大学第二内科), 梅垣 英次(大阪医科大学第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 【はじめに】外瘻はクローン病の腸管合併症の一つで,内科的治療に抵抗性である事が多い.infliximab(IFX)は外瘻の治療として広く使用されており,効果も多く報告されているが,同じ抗TNFα抗体であるadalimumab(ADA)は報告例が少ない.今回,クローン病の外瘻に対してADAを投与した3例を経験したので報告する.【症例1】31歳,男性.穿孔性虫垂炎に対し虫垂切除術を施行されたが,約2年後より手術痕が離解し,排液を認めるようになった.CTで上行結腸皮膚瘻を認め,手術標本より回腸に非特異的肉芽腫を認め,小腸大腸型クローン病による瘻孔形成と診断し,ADAの投与を開始した.その後一時的に排液量は減少したものの完全閉鎖は得られなかった.【症例2】59歳,男性.左下腹部の腫脹がみられ,後腹膜膿瘍及び皮下膿瘍を認め,ドレナージ術を施行された.S状結腸に縦走潰瘍とS状結腸皮膚瘻を認め,大腸型クローン病による瘻孔形成と考え,ADAの投与を開始したところ,膿瘍腔の縮小と排液量の減少を認めた.しかし,成分栄養剤を投与すると膿瘍腔の増大を認め,回腸人工肛門造設術を行った.その後ADAを継続したところ排液量の減少がみられたが,4ヶ月後に膿瘍腔の増大を認めた.【症例3】43歳,男性.右下腹部痛を自覚し,回盲部炎及び限局性腹膜炎と診断,小腸部分切除術を施行された.手術標本で回腸に縦走潰瘍と非特異的肉芽腫を認め,小腸型クローン病と診断し5-ASA投与を開始したが,術後創部からの排液が持続し,吻合部口側に瘻孔を認めた.ADA投与を開始したところ,排液量は減少し瘻孔の閉鎖が得られた.その後再燃なく約3ヶ月持続している.【考察】クローン病による外瘻に対してADA投与を行った3例を経験し,うち1例で閉鎖が得られた.IFX同様,難治性外瘻に対しADAが有用である可能性が示唆された.
索引用語