セッション情報 ポスター

小腸 症例(IBD)

タイトル P-037:

抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤が著効した回盲部孤発性潰瘍の一例

演者 渋谷 仁(豊見城中央病院消化器内科)
共同演者 大中 祐太郎(豊見城中央病院消化器内科), 大城 拓巳(豊見城中央病院消化器内科), 峯松 秀樹(豊見城中央病院消化器内科), 田中 健児(豊見城中央病院消化器内科), 真喜志 知子(豊見城中央病院消化器内科), 加藤 功大(豊見城中央病院消化器内科), 山城 正明(豊見城中央病院消化器内科)
抄録 【症例】63歳 男性【主訴】心窩部不快感,右下腹部痛
【現病歴】当科受診1ヶ月前から空腹時を中心に心窩部の不快感を自覚していた.受診の数日前から腹部の張りが続き徐々に痛みも伴うようになったため当科受診となった.血液検査で炎症反応の上昇を認め,腹部造影CTで回盲部を中心とした炎症像を認めたため,精査加療目的に入院とした.
【入院後経過】第4病日に下部消化管内視鏡を施行し,回腸末端に約2/3周性の深掘れの孤発性潰瘍を認めた.注腸検査では盲腸と回腸末端との瘻孔が確認された.消化態流動食,5ASA製剤の内服で加療を行ったが改善は乏しく,著しい腹痛,血便を認め状態の悪化を認めた.十分なインフォームド・コンセント及びセカンドオピニオンの後に,第26病日に抗TNFα抗体の投与を行った.投与後は比較的速やかに自覚症状,血液検査上の炎症反応ともに改善を認め,第44病日に退院となった.現在は抗TNFα抗体の投与を継続し,寛解を維持している.
【考察】回盲部の潰瘍性病変を呈する疾患は多岐にわたり,原疾患によっても治療は大きく異なる.病歴,内視鏡所見,その他の検査所見から疾患の鑑別が可能なものもあるが,回盲部に潰瘍性病変を伴う腸管ベーチェット病と単純性潰瘍に関しては鑑別は困難であり,疾患の定義やその異同すらも一定の見解が得られていない.本症例は初診時には認めなかったものの,数十年来,口腔内にアフタが繰り返し生じており,診断や治療を決定するための一助となった.早期に抗TNFα抗体の投与を行い,著効した一例を経験したため若干の文献的考察を含め報告する.
索引用語