セッション情報 ポスター

臨床-内臓血管

タイトル P-040:

ステント留置術が奏功した偽腔開存型孤立性上腸間膜動脈解離と当院における13例の検討

演者 曽我部 裕子(大津赤十字病院消化器科)
共同演者 小澤 智美(大津赤十字病院消化器科), 松本 慎平(大津赤十字病院消化器科), 内海 貴裕(大津赤十字病院消化器科), 松本 淳(大津赤十字病院消化器科), 森 義治(大津赤十字病院消化器科), 大野 千景(大津赤十字病院消化器科), 西田 吉宏(大津赤十字病院消化器科), 稗田 信弘(大津赤十字病院消化器科), 三上 貴生(大津赤十字病院消化器科), 垣内 伸之(大津赤十字病院消化器科), 松永 康寛(大津赤十字病院消化器科), 友野 輝子(大津赤十字病院消化器科), 本庶 元(大津赤十字病院消化器科), 近藤 雅彦(大津赤十字病院消化器科), 西川 浩二(大津赤十字病院消化器科), 三宅 直樹(大津赤十字病院消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院消化器科)
抄録 【背景・目的・方法】孤立性上腸間膜動脈(SMA)解離は稀な疾患であり,標準的治療法は確立されていない.腸管壊死,動脈瘤破裂などは外科的治療の絶対適応となるが,保存的治療や血管内治療が奏功した例も報告されている.今回我々は,偽腔開存型で真腔の高度狭窄を有した進行性のSMA解離に対しステント留置術を施行し奏功した一例を経験した.本例と合わせて,2008年1月から2013年9月までの間に当院で経験したSMA解離13例について,患者背景,発症様式,治療,転帰について検討した.【結果】男性12例,女性1例,年齢中央値56歳,有症状10例であった.11例が喫煙歴を有し,6例が高血圧の既往があった.全例造影CTで診断,Dダイマー高値はみられなかった.偽腔開存型4例,偽腔閉鎖型9例,高度狭窄例(狭窄率80%以上(NASCET法))は3例であった.治療は12例で保存的治療を行い,うち7例で抗凝固療法を行った.10例は良好な経過が得られたが,1例は解離進行がみられステント留置術を施行,1例は経過中に腸管虚血をきたし小腸部分切除を行ったがその後の経過は良好であった.抗凝固療法により偽腔の再開通がみられた症例はなかった.1例は診断時にSMA血栓症が合併しており,血栓吸引術を施行し経過は良好であった.【考察】保存的治療で良好な経過が得られた症例が多かった.血栓予防としての抗凝固・抗血小板療法の適応について,明確な基準はなかった.偽腔開存型ではentryにより偽腔開大・真腔狭窄をきたした例がみられ,特に有症状例では抗血栓療法を積極的に行うべきと考える.一方,無症状例では高度狭窄,偽腔開存型であっても経過観察が可能なものもみられた.解離の進行例に対しては,偽腔開存型であっても安全にステント留置が可能であった.
索引用語