セッション情報 ポスター

臨床-内臓血管

タイトル P-041:

内科的治療で軽快した孤立性上腸間膜動脈解離の4例

演者 松田 尚登(福井県済生会病院内科)
共同演者 熊井 達男(福井県済生会病院内科), 上田 晃之(福井県済生会病院内科), 真田 拓(福井県済生会病院内科), 新 浩一(福井県済生会病院内科), 渡邉 弘之(福井県済生会病院内科), 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院内科), 登谷 大修(福井県済生会病院内科), 田中 延善(福井県済生会病院内科), 山城 正司(福井県済生会病院放射線科), 宮山 士朗(福井県済生会病院放射線科)
抄録 【背景と目的】孤立性上腸間膜動脈解離症例の報告は,画像診断の普及に伴い増加している.しかし,治療方針や予後については不明な点が多い.今回我々は,保存的治療にて軽快したSMA解離の4例を経験したので報告する.【症例1】50歳代の男性.激しい腹痛・背部痛で発症し,直ちに当院を受診.腹部造影CTでSMA近位部から空腸枝まで広範囲に解離を認め,また右側結腸の腸管浮腫もあり虚血が疑われた.絶食・降圧療法・抗血栓療法で治療し,症状の消退とCTでの腸管浮腫の改善もあり第14病日に退院.4か月後のCTでは解離は消失している.【症例2】60歳代の男性.近医で高血圧の加療中,約3か月間心窩部痛・左背部痛が続いたため受診.腹部造影CTでSMA分岐2cm辺りから3cm長の解離腔がみられ,偽腔・真腔ともに開存していた.絶食,降圧療法で加療し,解離腔は不変であったが,症状は消退し第16病日に退院.1年5か月後のCTで悪化を認めていない.【症例3】60歳代の女性.強い左季肋部痛で発症し直ちに受診.腹部造影CTでSMA分岐部から空腸枝レベルまで広範囲に解離を認め,偽腔は血栓閉鎖していたが腸管虚血の所見は認めなかった.絶食・降圧療法で症状は消退し第13病日に退院.2か月後のCTでは,SMA解離の偽腔は一部開存してはいたが縮小傾向であった.【症例4】40歳代の男性.腹痛,下痢で発症し2週間後に受診.CTでSMA第2空腸枝直後から18mmに渡って解離し,小腸の浮腫上変化を認めた.絶食,補液,安静のみで加療を行い,2週間後のCTでは狭小化していた真腔は拡大し,小腸の浮腫は消失していた.【まとめ】症例はいずれも中年で男性3例女性1例であった.発症様式は様々であったが4例とも腹部症状を有し,診断には造影CTを要した.内科的治療で軽快し,再発なく予後良好であった.【結語】動脈瘤合併や腸管壊死梗塞がない場合は,内科的に治療できる症例が存在すると考えられた.
索引用語