セッション情報 ポスター

臨床-内臓血管

タイトル P-042:

上腸間膜動脈閉塞症に対しinterventional radiologyを施行した2症例

演者 窪田 晃治(伊那中央病院外科)
共同演者 中山 中(伊那中央病院外科), 久米田 浩孝(伊那中央病院外科), 大久保 洋平(伊那中央病院外科), 芳澤 淳一(伊那中央病院外科), 唐澤 文寿(伊那中央病院外科), 竹内 信道(伊那中央病院外科), 伊藤 憲雄(伊那中央病院外科), 松原 誠(伊那中央病院放射線科)
抄録 上腸間膜動脈閉塞症(Superior Mesenteric Artery Occlusion以下SMAO)は発症後短時間で腸管の広範囲壊死をきたし,予後不良の疾患である.今回我々はInterventional radiology(以下IVR)を施行し,保存的に救命し得たSMAOの2症例を経験したので報告する.症例1は80歳,女性.突然の腹痛にて当院受診.腹部造影CT検査にてSMAOと診断した.発症後2時間で,IVRにより加療した.右大腿動脈よりカテーテルを挿入し,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery以下SMA)にカテーテルを留置し,可及的に血栓を吸引後,ウロキナーゼを動注した.術後,一過性の虚血による血便を認めたが,腸管壊死を疑う所見は認めなかった.症例2は82歳,男性.腹痛にて前医受診し,腹部造影CT検査にてSMAOと診断され治療目的に当科紹介となった.発症から約6時間でIVRにより治療開始した.右大腿動脈よりカテーテルを挿入し,症例1と同様の手順で治療を開始したが,カテーテルの挿入角度がきつく治療に難渋したため,右橈骨動脈より新たにカテーテルを挿入し,吸引とウロキナーゼ処置を繰り返し施行した.術後,虚血による血便を認めたが,腸管壊死を疑う所見は認めなかった.症例1,2とも,術後の腹部造影CT検査ではSMAの血流は改善していた.SMAOは,早期診断に難渋することが多く,治療のタイミングが遅れると時に致命的となりかねない.以前は開腹手術が治療の第一選択であったが,CT検査の精度向上により早期診断が可能となった.発症から10時間以内であればIVRによる根治例が散見されており,積極的に治療するべきであると考えられる.しかしながら,IVRにて治療施行後も,腸管の虚血壊死を起こす可能性があり,腸管壊死の兆候があれば躊躇せず開腹手術を施行するべきである.若干の文献的考察を踏まえて報告する.
索引用語