セッション情報 ポスター

食道癌 ESD

タイトル P-043:

安全性の向上をめざしたIT knife nanoによる食道ESD

演者 北川 善康(千葉県がんセンター消化器内科)
共同演者 鈴木 拓人(千葉県がんセンター内視鏡科), 杉田 統(千葉県がんセンター消化器内科), 新井 裕之(千葉県がんセンター消化器内科), 喜多 絵美里(千葉県がんセンター消化器内科), 辻本 彰子(千葉県がんセンター消化器内科), 中村 奈海(千葉県がんセンター消化器内科), 相馬 寧(千葉県がんセンター消化器内科), 須藤 研太郎(千葉県がんセンター消化器内科), 中村 和貴(千葉県がんセンター消化器内科), 三梨 桂子(千葉県がんセンター消化器内科), 廣中 秀一(千葉県がんセンター消化器内科), 原 太郎(千葉県がんセンター内視鏡科), 傳田 忠道(千葉県がんセンター消化器内科), 山口 武人(千葉県がんセンター消化器内科)
抄録 【背景・目的】当院では2005年より食道ESDを開始し,2009年以降はDual knifeをメインデバイスとして全体で138例施行してきたが,心拍動や呼吸性変動などでスコープ操作が不安定となり筋層を損傷するケースが少なくなかった.食道の筋層損傷は重篤な偶発症につながるため出来るだけ回避する必要がある.IT系デバイスは先端が絶縁されており処置が安定しやすく,これまで胃ESDでIT系を使用し慣れていることもあり,2012年以降IT knife nanoをメインデバイスとして導入した.食道ESDにおけるIT knife nanoの有効性,安全性について評価することを目的とした.【対象・方法】食道ESD手技安定後の,2009年~2012年にDual knifeで治療した食道癌45病変(Dual knife使用期)と2012年~2013年にIT knife nanoで治療した36病変(IT knife nano使用期)で,治療成績と偶発症発生率を比較検討した.【結果】患者背景はDual knife使用期:IT knife nano使用期で,扁平上皮癌/腺癌44/1:35/1,部位(Ce・Ut/Mt/Lt・Ae)3/31/11:3/20/13,周在(3/4周未満/3/4周以上)35/10:32/4,腫瘍径中央値24(3-60)mm:17(3-34)mm,切除径中央値37(9-68)mm:35(23-52)mm,深達度(pEP-LPM/pMM-SM1/pSM2/pDMM)36/7/2:28/6/1/1と両期に差はなかった.治療成績は,一括切除率91.1%:100%,完全一括切除率82.2%:91.7%,治療時間中央値70(15-270)分:60(30-120)分であった.偶発症は,筋層損傷35.6%:5.6%,穿孔2.2%:0%,発熱28.9%:11.1%,縦隔炎15.6%:0%,術後狭窄6.7%:5.6%で,それらに伴う入院期間延長は8.9%:2.8%であった.【結語】IT knife nanoの導入により一括切除率の向上,治療時間短縮等の成績向上がみられた.さらに筋層損傷が回避可能となり入院期間が延長する症例が減少し,より安全な食道ESDにつながる可能性が示唆された.
索引用語