セッション情報 ポスター

食道癌治療

タイトル P-047:

胸部食道癌に対する腹臥位胸腔鏡下食道切除術,腹腔補助下胃管作製術

演者 松谷 毅(日本医科大学消化器外科)
共同演者 野村 務(日本医科大学消化器外科), 萩原 信敏(日本医科大学消化器外科), 若林 秀幸(日本医科大学消化器外科), 藤田 逸郎(日本医科大学消化器外科), 金沢 義一(日本医科大学消化器外科), 丸山 弘(日本医科大学多摩永山病院外科), 牧野 浩司(日本医科大学多摩永山病院外科), 内田 英二(日本医科大学消化器外科)
抄録 【目的】当科では2005年から左側臥位胸腔鏡下食道切除を開始したが,2009年より腹臥位に変更し現在までに74例に施行した.その手技,成績を報告する.【胸腔鏡操作】手術台上を回転させて完全腹臥位とする.気管チューブをスパイラルチューブ+気管支ブロッカー,片肺換気,CO2による6 mmHgの気胸下に右肺を虚脱させて手術を施行.肩甲骨下第9肋間に胸腔鏡用,後腋窩線上第3,5,7肋間に操作用ポートを挿入.中下縦隔から縦隔胸膜を切開.食道腹側面から横隔膜脚・対側胸膜を露出し,下肺静脈から気管リンパ節の背側を展開する.大動脈と食道背側の処理を上縦隔まで対側胸膜を露出するように展開.奇静脈を切離し,上縦隔リンパ節を郭清.食道腹側と気管膜様部を剥離し,気管支動脈と気管周囲の血管網の温存を心がける.気管左側の術野展開は,気管圧排を十分に行うためにEnd-retractorを用いて工夫している.食道を挙上.胸部上部で切離する.【腹腔鏡操作】仰臥位で臍部に腹腔鏡用,左右季肋部・側腹部に操作用ポートを挿入する.右胃大網動静脈を温存し,左胃大網・短胃動静脈を処理して胃を脱転する.左胃動静脈を切離後に,上腹部小切開創をおき胃を創外に引き出す.リニアステイプラーを用いて細径胃管を作製する.再建術は,後縦隔に留置しておいた血管テープにビニール袋を連結させ,頸部から腹部創までビニール袋のトンネルを作り,ビニール袋の中を通したチューブと細径胃管を連結させる.トンネル内を通して胃管を頚部まで挙上し,頸部食道胃管吻合を行う.【結果】74例のうち胸膜癒着で開胸移行が2例あるが,胸腔鏡および腹腔鏡操作で偶発症はなく,全例でD2以上のリンパ節郭清を施行し得た.平均手術時間は526±20分,術中出血量は211±31mlであった.【結論】当科で定型化した胸腔鏡下食道切除,腹腔鏡補助下胃管作製および再建術を報告する.
索引用語