セッション情報 ポスター

食道癌治療

タイトル P-048:

生体吸収性ステントを用いた消化管縫合不全に対する新しい治療法の開発

演者 合川 公康(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
共同演者 宮澤 光男(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 岡田 克也(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 岡本 光順(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 渡辺 幸博(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 高瀬 健一郎(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 佐藤 弘(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 山口 茂樹(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 櫻本 信一(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科), 小山 勇(埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
抄録 【背景】消化管縫合不全は,様々な吻合法,吻合デバイスが開発された現在も一定の確率で出現する合併症である.特に,食道亜全摘後の食道胃管吻合では比較的高い頻度で縫合不全が出現する.現在,消化管縫合不全の治療法は,禁飲食とドレナージを基本であるため,長期間の入院加療が必要となり,患者の生活の質や医療経済においても大きな障害となる.また,縫合不全の治癒後には,しばしば狭窄が出現する.縫合不全部を早期に狭窄なく治癒させることが可能な治療法の開発が望まれている.我々は,生体吸収性ステントを独自に開発し,様々な管腔臓器の治療や狭窄予防実験を行っている.今回は,大動物を用い,頚部食道に縫合不全モデルを作成し,生体吸収性ステント留置の有効性を検討した.【方法】雑種ブタ(n=3)を全身麻酔下に頸部食道を露出し,半周性に前壁欠損を作成した(縫合不全モデルの作製).この部分へ生体吸収性カバードステントを留置し吸収糸で固定した.手術翌日より飲水開始し,翌々日より流動食を開始した.術後2週間より内視鏡検査を1週間ごとに施行した.術後8週に,透視検査施行後,食道を摘出し,肉眼的,組織学的に評価した.【結果】すべてのブタは合併症なく経過し,犠牲死させるまで生存した.2週目の内視鏡検査ではステントは既に逸脱していたが,欠損部は肉芽で覆われていた.8週後の食道透視では,一部変形を認めたが通過良好で狭窄は認めなかった.肉眼的にはステント部と周囲食道の内径に差は認めなかった.組織学的には,欠損部は,native食道壁と比べ固有筋層が少ないが,粘膜,粘膜下層の構造が保たれていた.【結語】食道縫合不全モデルに対する生体吸収性ステント治療は,早期の経口摂取が可能で,狭窄をきたすことなく,縫合不全部を治癒させることが可能である.
索引用語