セッション情報 ポスター

大腸 IBD 1

タイトル P-053:

Crohn病初回腸切除に対するInfliximabの影響の検討―手術適応,手術時期,切除腸管長から―

演者 杉田 昭(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター)
共同演者 小金井 一隆(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 辰巳 健志(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 二木 了(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 黒木 博介(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 山田 恭子(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 荒井 勝彦(横浜市立市民病院炎症性腸疾患センター), 木村 英明(横浜市立大学附属市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 【目的】近年,Crohn病に対して生物学的製剤が繁用されているが,本剤投与の手術例に対する種々の影響については十分検討されていない.今回はinfliximab(IFX)治療後に初回腸切除術をうけたCrohn病症例で手術適応,手術時期,切除腸管長を検討し,その影響を分析した.【対象,方法】切除腸管長が明らかな自験Crohn病症例のうち,IFX投与後に初回腸切除術をうけた症例の手術適応,手術時期,切除腸管長を,IFXを投与されていない初回腸切除例とretrospectiveに比較してIFXの初回腸切除例に与える影響を分析した.対象はIFX+群66例,IFX-群242例で,男女比はそれぞれ45:21,178:64,腸管切除部位を小腸,大腸,小腸大腸に分類するとそれぞれ,16:2:47(不明1例),72:22:148であった.【結果】手術適応はIFX+群,-群で,P型,NP型がそれぞれ28:38,138:102(不明2例)でIFX+群でP型が有意に少なく(p=0.015),手術までの罹病期間はそれぞれ平均10.3年,7.4年であり,IFX+群で初回手術の時期が遅くなっていた(p=0.001).切除腸管長はIFX+群,-群で小腸がそれぞれ平均25.0cm,24.5cm差はなかったが,大腸は23.3cm,16.0cm,全体では46.1cm,38.7cmと後2者では有意にIFX+群で長かった(p=0.008,p=0.019).【結論】Infliximab投与後に初回腸切除術をうけたCrohn病症例では投与されていない腸管切除例に比べて,手術までの期間が延長し,腸管切除は小腸切除長に差はないが大腸切除長が長いことにより広範に切除されていた.生物学的製剤の使用による手術時期の遅れや切除腸管,特に小腸の広範な切除がないことが重要であり,さらに症例を増やして分析を行う必要がある.
索引用語