セッション情報 ポスター

大腸 IBD 2

タイトル P-062:

抗TNF製剤二次無効となった大腸型クローン病に対し人工肛門造設によるFecal diversionを施行した2症例の検討―その有用性と問題点について―

演者 高橋 悟(浜松医科大学第一内科)
共同演者 山田 貴教(浜松医科大学第一内科), 岩泉 守哉(浜松医科大学第一内科), 杉本 光繁(浜松医科大学第一内科), 古田 隆久(浜松医科大学臨床研究センター), 大澤 恵(浜松医科大学光学医療診療部), 杉本 健(浜松医科大学第一内科)
抄録 【はじめに】今回,我々は抗TNF製剤二次無効となった大腸型クローン病に対し,便流変更を目的とした人工肛門造設術(Fecal diversion,FD)を選択し,抗TNF製剤の再導入が可能となった2症例を経験した.ともに臨床的寛解を達成したが内視鏡的に大腸の粘膜治癒は得られていない.これらの症例におけるFDの有用性と問題点について検討した.【症例1】20歳,女性.白血球増多,口内炎,発熱を認め,当院免疫内科でBehcet病を疑い治療されていた.2012年1月より下痢と発熱の悪化を認め当科へ紹介.内視鏡では全大腸にびまん性発赤・浮腫を認めたが,治療中に縦走潰瘍,非乾酪性肉芽腫が明らかとなり大腸型クローン病と診断した.5ASA不耐であり,血球成分除去(CAP)療法,免疫調節剤,抗TNF製剤の治療にても寛解が得られずFDを施行した.術後は抗TNF製剤を再開し,症状改善し外来治療が可能となった.【症例2】17歳,女性.腹痛,血便,体重減少にて近医受診.内視鏡にて大腸に発赤・びらん・縦走潰瘍を認め,当科紹介入院となった.大腸型クローン病と診断されたが,5-ASA不耐であり,CAP療法,免疫調節剤,抗TNF製剤で改善せず,内科治療抵抗性と判断しFDを施行.その後抗TNF製剤を再開したところ,症状の改善を得て退院可能となった.【考察】FDは腸内容物の大腸通過を避けることにより消化管粘膜の炎症を改善させ栄養状態の改善を図る治療である.これまでの報告ではFDによりQOLは改善しても人工肛門の閉鎖まで可能となる症例は少ないとされていたが,抗TNF製剤を併用することでFDを行った後に人工肛門閉鎖が可能となることを期待した.しかしながら両症例ともに臨床的寛解は達成できているにも関わらず,内視鏡的には大腸の粘膜治癒には至らず,今後の治療方針につき十分な検討が必要であると考えられる.
索引用語