セッション情報 ポスター

大腸 IBD 3

タイトル P-064:

潰瘍性大腸炎術後感染性合併症の検討

演者 二木 了(横浜市立市民病院外科)
共同演者 小金井 一隆(横浜市立市民病院外科), 辰巳 健志(横浜市立市民病院外科), 山田 恭子(横浜市立市民病院外科), 黒木 博介(横浜市立市民病院外科), 木村 英明(横浜市立大学附属市民総合医療センター炎症性腸疾患センター), 荒井 勝彦(横浜市立市民病院外科), 杉田 昭(横浜市立市民病院外科), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 背景:潰瘍性大腸炎(以下UC)は術前にステロイドなど各種治療が行われ,周術期に様々な感染性合併症を生じる.目的:UC術後感染性合併症について検討した.対象:2010年1月~2013年7月まで当科で初回手術を施行した249例(大腸全摘回腸嚢肛門管吻合術155例,大腸全摘回腸嚢肛門吻合術40例,結腸亜全摘術36例,大腸全摘術18例)を対象とした.男性151例,女性98例,手術時年齢中央値47.8歳(11.1-83.6),術前1か月のプレドニゾロン(以下PSL)使用量150mg(0-3330)であった.手術適応は難治134例(53.8%),重症66例(26.5%),癌49例(19.7%)であり,手術適応毎に感染症の発生率を検討した.結果:全症例中99例(39.8%)に感染症を生じ,難治は44例で32.8%,重症は34例で51.5%,癌は21例で42.9%に感染症を認めた(以下括弧内は難治,重症,癌の各手術適応例に対する頻度を示す).最も多い合併症はSSI(surgical site infection)であり,表層性SSIはそれぞれ14例(10.4%),16例(24.2%),6例(12.2%),臓器/体腔SSIは12例(9.0%),8例(12.1%),7例(14.3%)に認めた.呼吸器感染症は2例(1.5%),6例(9.1%),0例(0%)であり,難治で1例,重症で2例が呼吸器感染症により死亡し,いずれも70歳以上であった.CVカテーテル感染症は7例(5.2%),6例(9.1%),0例(0%),尿路感染症は2例(1.5%),1例(1.5%),1例(2.0%),腸炎は3例(2.2%),1例(1.5%),1例(2.0%)に認めた.術前1か月PSLは難治では感染症(+)群で36例(81.8%)が使用,使用量中央値300mg(0-2000),感染症(-)群で47例(52.2%),中央値15mg(0-4000)であった.重症では感染症(+)群で33例(94.3%)が使用,使用量中央値840mg(0-3300),感染症(-)群で30例(96.8%),中央値772.5mg(0-2000)であった.結論:UC初回手術例では約40%が感染症を併発し,内訳はSSIが最も多く,呼吸器感染症の発生率は少なかった.難治,重症例ともにPSL使用率は高かった.高齢者では感染症による死亡例があり手術時期の遅れがないように留意すべきである.
索引用語