セッション情報 ポスター

腸炎1

タイトル P-071:

当院における急性出血性直腸潰瘍10例の臨床的特徴

演者 栗林 泰隆(虎の門病院消化器内科)
共同演者 野村 浩介(虎の門病院消化器内科), 木村 隆輔(虎の門病院消化器内科), 山田 晃弘(虎の門病院消化器内科), 古畑 司(虎の門病院消化器内科), 山下 聡(虎の門病院消化器内科), 小川 修(虎の門病院消化器内科), 松井 啓(虎の門病院消化器内科), 菊地 大輔(虎の門病院消化器内科), 三谷 年史(虎の門病院消化器内科), 飯塚 敏郎(虎の門病院消化器内科), 布袋屋 修(虎の門病院消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院消化器内科)
抄録 【背景】急性出血性直腸潰瘍(AHRU)は重篤な基礎疾患を有する長期臥床患者に見られる下部直腸に限局した潰瘍性病変で,突然生じる無痛性の血便を契機に発見されることが多いとされる.高齢化社会を迎えた本邦において,今後AHRUは増加していく疾患と思われる.【目的】当院におけるAHRUの臨床的特徴について検討すること.【方法】2008年4月から2013年8月までの間に当院で大腸内視鏡検査にて急性出血性直腸潰瘍と診断した10例を対象とした.患者背景,潰瘍形態,出血の程度,止血方法について検討した.【結果】年齢は平均年齢74歳(42-83歳)と高齢者に多く,男性9例女性1例であった.Performance status(PS)が3または4と高度に低下していた症例は7例であった.AHRU診断時における血清アルブミン値は平均2.6g/dl(2.1-3.7g/dl)と低栄養状態であった.全例が背景に基礎疾患を持ち,心疾患5例,慢性肝疾患1例,慢性腎不全4例,脳血管疾患4例,糖尿病2例,整形外科疾患2例,悪性腫瘍5例であった.内服薬としては,抗血小板薬5例,抗凝固薬1例,ステロイド1例,スニチニブ1例であった.スニチニブ内服例はgrade3の血小板減少を伴っていた.潰瘍の発生部位は全例が下部直腸であり,潰瘍形態としては不整形型7例,類円形型3例,Dieulafoy型1例であった.発症前後でヘモグロビンは平均1.9g/dl(0.6-2.7g/dl)低下しており,平均5Uの輸血を要していた.4例に露出血管を認め,その内3例はクリップのみによる止血術が施行され,1例はクリップと高周波電気凝固による止血術が施行された.全例で再出血を認めなかったが,AHRU診断から退院まで平均29日を要していた.【結論】抗血栓療法中やステロイド内服中の重篤な基礎疾患を持つ高齢者における血便では,AHRUを念頭に置く必要がある.AHRUによる血便であった場合,内視鏡的止血術は有効であるが,出血量が多く輸血が必要となることが多い.
索引用語