セッション情報 ポスター

腸炎2

タイトル P-073:

炎症性腸疾患患者におけるClostridium difficile感染の検討

演者 永田 豊(九州大学大学院病態機能内科学)
共同演者 江崎 幹宏(九州大学大学院病態機能内科学), 冬野 雄太(九州大学大学院病態機能内科学), 梅野 淳嗣(九州大学大学院病態機能内科学), 前畠 裕司(九州大学大学院病態機能内科学), 浅野 光一(九州大学大学院病態機能内科学), 森山 智彦(九州大学大学院病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学先端医療イノベーションセンター), 松本 主之(岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野), 北園 孝成(九州大学大学院病態機能内科学)
抄録 【目的】炎症性腸疾患(以下IBD)患者におけるClostridium difficile感染(以下CDI)の罹患率,ならびにCDIに関連する臨床的背景を検討する.
【対象と方法】当科で加療中のIBD患者のうち,同意が得られた233例(潰瘍性大腸炎122例,クローン病111例)において便中CD抗原を測定しCDIの有無を評価した.次に,CD抗原結果にもとづき対象をCDI群と非CDI群に群分けし,2群における臨床的背景(年齢,性別,病型,罹病期間,入院患者の割合,治療薬剤,臨床的寛解の有無)を比較した.治療薬剤については,アミノサリチル酸製剤,ステロイド剤,免疫調節剤,抗体TNFα抗体製剤の有無を検討した.また,潰瘍性大腸炎ではUCAI(Seo’s Index),クローン病ではCDAIを用いて疾患活動性を評価し,それぞれ120未満,150未満を臨床的寛解と定義した.
【結果】233例のうち便中CD抗原陽性例は26例(11.1%)であり,内訳は潰瘍性大腸炎が19例,クローン病が7例であった.CDI群と非CDI群における臨床的背景を単変量解析で比較すると,CDI群では罹病期間が有意に短く(7.8年vs. 13.7年;p<0.001),抗TNFα抗体製剤使用例が少なかった(15.4% vs. 35.3%;p<0.05).また,CDI群では免疫調節剤投与例が少なく(15.3% vs. 33.8%;0.05<p<0.1),ステロイド投与例が多い(34.6% vs. 16.9%;0.05<p<0.1)傾向にあった.多変量解析では免疫抑制剤投与のみがCDIと負の関連を有する因子として抽出された(OR 0.25,95%CI 0.07-0.77;p<0.05).
【結論】IBD患者におけるCDI罹患率は比較的高く,IBDに対する治療薬剤が影響を及ぼす可能性があると推察された.
索引用語