セッション情報 | ポスター腸炎2 |
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タイトル | P-075:当院におけるcytomegalovirus腸炎の検討 |
演者 | 定免 渉(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科) |
共同演者 | 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 吉田 正宏(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院消化器内科・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(同病理・臨床検査室), 松野 鉄平(札幌医科大学腫瘍・血液内科学講座), 佐藤 昌則(札幌医科大学腫瘍・血液内科学講座), 加藤 淳二(札幌医科大学腫瘍・血液内科学講座) |
抄録 | 悪性腫瘍・AIDS・炎症性腸疾患などの基礎疾患を有し,副腎皮質ステロイド投与や化学療法を受けた易感染性宿主では,cytomegalovirus(CMV)再活性化は日和見感染症として重要である.今回,自施設におけるCMV腸炎の臨床的特徴について後方視的に検討した.【対象】2010年4月から2013年3月までの3年間に当科で診断したCMV腸炎14例(26-82歳(年齢中央値64歳),男女比8:6)を対象とした.【結果】基礎疾患は造血器腫瘍が5例と最も多く,炎症性腸疾患3例,術後2例が含まれていた.造血器腫瘍は全例で化学療法を施行され,副腎皮質ステロイドおよび免疫抑制剤は10例に投与されていた.症状は下血が10例と多く,そのうち4例に内視鏡的止血を要した.内視鏡像は多発性潰瘍が10例,病変部位は大腸が11例と最も多かった.診断法は,生検6例,血清CMV-IgM抗体陽性3例,CMV抗原血症7例であり,CMV抗原血症と生検がともに陽性が2例であった.治療については全例でgancylovirを投与したが,gancylovir抵抗性でfoscarnetへ変更した2例中1例でCMV腸炎が改善した.またCMV腸炎による死亡は4例(28.5%)であった.なお基礎疾患の有無に関わらず,CMV腸炎発症時の末梢血リンパ球数は低値であった.【結語・考察】既報と同様に化学療法後や炎症性腸疾患・自己免疫疾患に対する副腎皮質ステロイド・免疫抑制剤の使用によりCMV腸炎を合併することが多かった.一方,それらの要因のない高齢者3例(21.4%)でCMV腸炎が認められ,末梢血リンパ球数が低下した高齢者では,基礎疾患や免疫抑制剤使用の有無に関わらず,手術等の一過性侵襲によりCMV腸炎を合併しうると考えられた.また,抗原血症・血清抗体・生検など単一でのCMV検出感度は必ずしも高くなく,可能な限り各種検査法を併用することにより,確定診断につながると考えられた. |
索引用語 |