セッション情報 ポスター

大腸癌・内視鏡

タイトル P-080:

閉塞性大腸癌に対する治療内容と予後の検討

演者 菅 隼人(日本医科大学消化器外科)
共同演者 内田 英二(日本医科大学消化器外科), 山田 岳史(日本医科大学消化器外科), 小泉 岐博(日本医科大学消化器外科), 進士 誠一(日本医科大学消化器外科), 山岸 杏彌(日本医科大学消化器外科), 原 敬介(日本医科大学消化器外科)
抄録 【目的】当院で手術治療を行った閉塞性大腸癌症例の治療内容と予後を検討した.【対象・方法】2008年1月~2012年9月の大腸癌手術症例644例中,大腸癌イレウスを発症した32例(5.0%)を対象とした.左側大腸癌イレウスに対しては原則として経肛門的減圧管の挿入を試み,口側腸管の減圧後に待機的手術を行い可能な限り一期的切除吻合を行った.右側大腸癌には経肛門的または経鼻的イレウス管で減圧を試みてから待機的手術を行った.大腸ステントを留置した症例は無し.【結果】対象は男/女:18/14例,年齢は44~91歳(中央値70歳),癌部位はC/A/T/D/S/R:2/6/6/3/10/5.イレウス管留置を試みたのは28例(87.5%,経肛門/経鼻:23/5例).留置は24例に成功(経肛門82.6%,経鼻100%).成功例のうち18例(75.0%)は減圧効果良好で全例に待機的手術(うち6例は腹腔鏡下手術)を行い,うち4例は超高齢や併存疾患の関係で人工肛門を造設.一方,減圧効果不十分と判断された6例(25.0%)には緊急手術を行い,うち2例に人工肛門を造設.観察期間中イレウス管留置による合併症は認めず.術後の合併症は5例(15.6%)に認め,その内容は閉塞性腸炎の遷延,腹腔内膿瘍,肺塞栓,縫合不全等であった.高度腹膜播種のためストマ造設のみの1例を除いた31例は原発巣切除が可能で,病理組織学的検査の結果は組織型tub1/2/muc:12/18/1例,深達度T2/T3/T4a/T4b:1/20/8/2例で,pStageはI/II/IIIa/IIIb/IV:1/11/9/1/9であった.各症例の予後は27名が追跡可能で,12~61か月の観察期間中21名(74.1%)が生存し9名(33.3%)は無再発生存中で7名(25.9%)が癌の進行により死亡.pStageIVでも6名が12か月以上生存し,手術と化学療法により53か月の長期生存症例もある.【結語】閉塞性大腸癌に対しイレウス管による減圧後に待機的手術が行えたのは18/28例(64.3%)で77.8%に人工肛門を回避できた.StageIIIaまでの症例が65.6%を占め,StageIVでも術後53か月の長期生存例あり.
索引用語