セッション情報 ポスター

大腸癌・内視鏡

タイトル P-082:

高齢者における大腸ESDについての検討

演者 豊川 達也(福山医療センター消化器内科)
共同演者 表 静馬(福山医療センター消化器内科), 岡本 明子(福山医療センター消化器内科), 上田 祐也(福山医療センター消化器内科), 宮阪 梨華(福山医療センター消化器内科), 遠藤 伸也(福山医療センター消化器内科), 渡辺 一雄(福山医療センター消化器内科), 藤田 勲生(福山医療センター消化器内科), 村上 敬子(福山医療センター消化器内科), 金吉 俊彦(福山医療センター消化器内科), 坂田 達朗(福山医療センター消化器内科), 友田 純(福山医療センター消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は急速な勢いで全国に普及している.大腸腫瘍性病変に対しても同様であろう.一方,医療の高度化により高齢者にも積極的治療を行う機会が増加し,それにより様々な問題点も出現してきている.今回われわれは,高齢者に対する大腸ESDに関して,その適応,安全性,治療後経過等を検討したので報告する.【方法】対象は,2003年7月から2013年8月までに当院でESDを施行した大腸腫瘍性病変128病変(124症例)である.これらを75歳以上の高齢群とそれ未満の若年群に層別化し,患者および病変背景,治療成績,偶発症,予後などについて比較検討した.【成績】高齢群は42病変(40症例),若年群は86病変(84症例)に層別化された.男女比,病変部位,病変および切除標本の大きさについては両群間に有意な差を認めなかった.併存疾患として,薬物治療を要する高血圧症(55% vs 23%,p<0.01)と抗血小板剤を含む抗血栓療法(21% vs 3.5%,p<0.01)の頻度が高齢群で有意に高かった.線維化の有無や適応疾患,所要時間にも差異はなかったが,形態において高齢群で結節混在型がやや多い傾向にあった(64% vs 47%,p=0.164).一括切除率は高齢群で低い傾向を認めた(74% vs 86%,p=0.090)が有意差はなかった.また術者については,両群間で有意差はないものの若干差異を認めた(p=0.083).再発・残存に対する処置にも有意差はなく,偶発症の頻度も同程度であったが,死亡率(他病死も含む)はむしろ高齢群で低い傾向を示した(0% vs 4.7%,p=0.156).【結論】高齢者は若年者に比して併存症に差があるが,大腸ESDについての適応疾患や病変,治療の結果はほぼ同等と考えられた.ただし,術者や死亡率を勘案すると症例を選んで施行している可能性が示唆された.
索引用語