セッション情報 ポスター

HCV 1

タイトル P-085:

コバスTaqMan HCV ver.1定量法偽陰性を示したGenotype 2a C型肝炎2症例の経験

演者 田上 靖(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科)
共同演者 渡邊 綱正(名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学), 前川 久登(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科), 井上 貴子(名古屋市立大学病院中央臨床検査部), 村川 綾(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科), 下田 浩輝(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科), 黒田 高明(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科), 中野 利香(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科), 笹平 直樹(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科), 田中 靖人(名古屋市立大学病院中央臨床検査部), 与芝 真彰(せんぽ東京高輪病院消化器肝臓内科)
抄録 緒言:TaqMan HCV(CAP/CTM)ver.1は本邦で最も繁用されているHCV定量法である.今回我々はCAP/CTM ver.1により検出感度以下であったが,アーキテクトHCV Ag(CMIA),アキュジーンm-HCV RNA(ART)によりC型肝炎と診断した2症例を経験した.
症例1:65歳女性.輸血歴有り.肝酵素上昇にてHCV抗体を調べたところ抗体価高値であったが,CAP/CTM ver.1では検出感度以下であった.しかし,CMIAでは陽性(95 fmol/L),ARTでも4.0 logIU/mlとHCVの感染を確認した.また,genotpeは2aであった.さらに肝生検では,A2F2と活動性の肝炎を認めた.ペグインターフェロンα-2a単独24週間投与にてSVRを得た.症例2:72歳女性.輸血歴有り.下腿浮腫を主訴に当院初診.初診時に既にChild-Pughスコア8点(grade B)の肝硬変であり,肝細胞癌も発症していた.症例1同様,HCV抗体価高値,CAP/CTM ver.1検出感度以下,CMIA陽性(107 fmol/L),ART陽性(5.0 logIU/ml),genotype 2aであった.初診10ヶ月後に肝不全のため死亡した.
考察:CAP/CTM ver.1偽陰性のgenotype 4 C型肝炎2症例が報告され,5’non-coding regionにおけるprobeと標的HCV配列の不一致(145番,165番)と推論されている(Chevaliez Sら,Hepatology 2009).今回の2症例の遺伝子配列検索でも,症例1では145番,169番,症例2では145番,158番,169番にprobe部位での遺伝子変異を認めた.Chevaliez Sらの報告後,多くの国々でCAP/CTM ver.1の欠点を克服したCAP/CTM ver.2を採用し始め,2013年末より本邦においても採用される.症例1,2の検体をCAP/CTM ver.2で定量したところ,4.17,5.05 logIU/mlと陽性を示した.結語:CAP/CTM ver.1で偽陰性を示すC型肝炎(genotype 2a)2症例を経験した.今後のC型肝炎診断上重要な知見と考え報告する.
索引用語