セッション情報 ポスター

HCV 3

タイトル P-094:

C型慢性肝炎に対する3剤併用療法における甲状腺機能障害の検討

演者 池田 裕喜(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科)
共同演者 服部 美紀(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 野口 陽平(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 重福 隆太(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 初谷 守朗(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 松永 光太郎(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 松本 伸行(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 鈴木 通博(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科), 四柳 宏(東京大学感染症内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医科大学消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】甲状腺機能障害(TD)はC型慢性肝炎(CHC)に対するインターフェロン(IFN)療法の主要な副作用とされるが,3剤併用療法におけるTDの詳細は明らかとなっていない.今回我々は,3剤併用療法におけるTDを明らかにすることを目的に,治療前および治療中ならびに治療後の甲状腺ホルモンを経時的に測定しTD出現の詳細について検討した.
【方法】対象は当院にて3剤併用療法を導入した1型・高ウイルス量のCHC18例(男:女=9:9,年齢52(27-77)歳,IFN治療歴有:無=12:6)である.治療前TSH,fT3,fT4,抗サイログロブリン(Tg)抗体,抗TPO抗体,ならびに治療中ならびに治療終了後24週まで4週毎にTSH,fT3,fT4を測定し,TD出現の詳細について検討した.今回,TSHが異常を呈するものをTDと定義した.
【結果】治療前の血液検査にて2例がTDを認めていた.これら2例を除く16例のうち,開始時に抗TPO抗体陽性が1例,抗Tg抗体陽性が2例認められた.経過中にTDを発症した症例は6例(37.5%:6/16)であった.TDの出現時期は4週が4例,8週が1例,20週が1例であった.TD発症6例はいずれも甲状腺機能低下症で,そのうち1例が甲状腺剤による治療を要した.6例のうち4例はfT4の低下を伴わない潜在性甲状腺機能低下症であった.未治療の5例のうち4例が治療経過中に自然軽快した.また,過去のIFN治療でTDを発症したにも関わらず,3剤併用療法ではTD発症なく治療を完遂できた症例も認められた.治療前よりTDを認めていた2例はいずれもTD増悪なく治療完遂が可能であった.
【考案と結語】3剤併用療法においてもTDは37.5%に認められた.しかしTD発症例の大半は自然軽快しており,厳重な経過観察を行いながら治療継続が可能であると考えられた.
索引用語